1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

 

 実際の想定される用途を考えると、明確にいくつかのグループに分類できる。


 

グループ1) とにかく明るさを追求するタイプ
 3)、4)、10)、11)、14)がそれにあたるが、とにかく消費電流が大きく、また発熱も大きい。連続使用時間はおおよそ1時間前後( 3)、14)は30分強)だが、あまりの発熱で、10分~20分程度で使用する気が失せてしまう。ある程度の連続使用を行う場合には、十分な予備のバッテリーを用意する必要があるだろう。

また、ボディーが発熱するのは、LEDやチャージポンプ、バッテリーなどからの放熱であり、強力な発光があるのにそれに見合った放熱が無い方が問題で、むしろそれらからのメッセージであると受け取りたい。4)以外はローパワーモードがあるが、消費電流対発光効率からやや低い値になるようだが、確かにローパワー時には長時間運用ができるし、発熱も低下する。

しかし3)ではローパワーモードでも2時間弱しか使用できず、このモデルの性格が伺える。1本しか持たない、メインの懐中電灯としては、いささかスプリンター過ぎる。ライフラインとしての備蓄にはあまり向かない。また3)は14500リチウムイオンに対応していると表示されているが、実際には電池格納部の内径が小さく、プロテクト付きの14500は収めることができない。私の場合は、旋盤で内径を拡張することで収納できるようにした。

 あらたに14)がひょんなはずみで加わったが、3段階のパワー切り替えの配分が使いやすく、1本しか持ち歩かない場合にも好適なつくりと評価できる。3)では使用するバッテリーがリチウムイオン以外のときに、パワー切り替えの幅が狭まるという難点があったが、14)ではすべてのタイプのバッテリーで、広範なパワー切り替えができる。

また、単3型電池1本のタイプの多くは、光学系が短距離に設定されていることが多いが、14)は焦点がよく絞られており、長距離の照射に対応するが、これは長所でもあり同時に短所でもある(近距離で地図や書類の閲覧、傷の手当てなどをする際に、中央部分のみが明るすぎて使いづらい・・・後述の近距離アダプタが必要)。
 
難点はやや高価なことと、L、Mパワー時(減光しているとき)に高速間欠発光しているために肉眼でもフリッカー(目のちらつき)が多少あることだ。このモデルも14500リチウムイオンが使用できる(定格では最大4.2v可)ことになっているが、プロテクト付きのバッテリーでは、不安になるほどキツい(入るにははいるが)。

 注)単3型1本のタイプ3)、14)では、上表のように大きな電流を消費し、相当に明るのでは、と期待してしまうが、根本的に供給電圧が低く昇圧比が大きくなり、効率が低下してしまう。実際に大きな光出力を得るには、リチウムイオンの14500を使用しなければならない。とくに冬場は温度が低いために、大電流が取り出しにくく、また早期にパワーダウンする(0度では1/3以下にも)。

根本的にニッケル水素やアルカリ電池で1C以上の放電率は無理があり、実用的には1/3C~1/4C(500mA以下)が適切で、しかも電池本数も2本以上必要のようだ。冬季にそれなりのパフォーマンスを得るには、体温やカイロで暖めたりすることも効果的ではある。


 

グループ2) 日常的に使用する、使い勝手の良い、明るさそこそこのタイプ
1)、3)、6)、7)、8)、9)、10)、14)。
単3電池1本のタイプがほとんど入っていないが、明るさに対して効率があまり良好ではなく、消費電流が大きく、連続使用時間が短いものが多い。およそ1~2時間程度(1C放電)で力尽きるものが多いようだ。

1)と3)が入っているが、これは一次電池を使用した場合に、ほとんど電池が空になるまで使い切ることができる(動作維持電圧、起動可能電圧ともに低い)ためであるが、これは同時にニッケル水素などを使用した場合、過放電になってしまう可能性があることも意味している。

 6)、7)はGentosブランドの製品で、ホームセンターなどでも販売されている製品だが、なかなか明るさと消費電流のバランスが良く、LEDをXR-E-Q5などに換装すると、8)、9)、のパフォーマンスを上回るバランスになる。名作と言えるだろう。

 最近、マニア様のサイトを見て知ったが、6)のGT-10にはAAとAZの2機種があるのだとか。主要な違いはチャージポンプのようで、AAは出力電流安定型、AZは単なる昇圧型のようだが、GT-10AAとニッケル水素の組み合わせは絶妙だ。電池が一定電圧以下になると起動できず、1次電池の使用には向かないようだが、この機能がニッケル水素の過放電や逆充電を防ぐ。

 8)、9)はユニークな製品で、いずれも胴体が分離短縮でき、8)は単3を2本またはCR123Aまたは同サイズのリチウムイオン1本で使用できる。9)は単3を1本または2本、CR123Aまたは同サイズのリチウムイオン1本、14500リチウムイオン1本が使用できる(プロテクト付き14500は直径がわずかに大きく、サンドペーパーなどで内径を調整しなければ収納できない)。

9)の明るさは今ひとつだが、ライフライン確保、サバイバル目的では、突出した柔軟性とパフォーマンスを発揮すると思われる。
また、単3サイズ1本での使用についてもバランスが良く、2本使用時とほぼ同等の連続使用時間が確保できる。明るさは今ひとつだが(ひつこい!)、放電電流は高出力時に0.3C程度なので(リチウムイオンを除く)、ほとんど全ての電池で利用率は高い状態をキープできるし、安全性も高いと考えられる。アルカリ電池1本で使用しているときには、その電池の使用末期に、要求される電流が取り出せない場合、自動的にHighモードからLowモードに切り替わるオマケ付だ。

参考までに連続使用時間の実測値を例出すると、アルカリ電池、ニッケル水素1本または2本、Highモードで3時間半以上、Lowモードで10時間以上使用できる。明るさは今ひとつだが、低消費電流/長連続使用時間のわりには相当に明るいといえる。後出する全方向性照射アダプタにも相性が良い。

 14)が新たに加わったが、実測データのようにパワー切り替えが3段階あり、非常に広範な使用ができる。高出力/短時間(0.6時間~1時間)、中出力/中時間(3時間程度)、低出力/長時間(10時間~20時間)(*Ni-MH、アルカリ、リチウムイオンいずれでもおおよそその時間使用できる=大変うまくパワーコントロールできている)などのように使い分けることが可能で、このカテゴリの製品には珍しく、上記のように長焦点にセットされている。ただヘッドベルトなどを使用し頭部に取り付けて使用すると、L(弱)およびM(中)、の出力時に、音がうるさいという問題も。

14500使用時、夜道の歩行などではL、自転車ではMで適切な明るさが得られる。またLモードで近距離アダプタをつければ、常夜灯状態で使用することもできる。(ただし、総光束自体は3)をやや下回る。光学系でこのパフォーマンスを得ているようだ)


 

グループ3)焦点距離可変型
 5)、7)、12)がこれにあたる。いずれのモデルも非球面レンズ(コリメーター)1枚で、定指向性を得ている。放物鏡を用いた光学系では一定の照射角の中央部分がガウス分布的に明るく、この特性が近距離から遠距離に至るまで「見たいものを照らし出す」ことに有効なのだが、写真や動画を撮影したり、照らし出されたものを精緻に観察するにはいささか見づらい。

これに対してコリメータを用いた光学系では一定の照射範囲全域で、一定の明るさが得られ、このため撮影や精緻観察には向いているようだ。6)も定指向性だが焦点距離は固定である。

 5)は単3電池1本仕様だが同じシリーズに18650を使用するモデルがあるが、仕様は12)とほぼ同様のようなのだが所有していないので調査は不十分だ。6)、7)は複合コリメータなので、定指向性にムラがあり、あくまで懐中電灯の域を出ないが、5)、12)は広角の場合はまるでプロジェクターで、影絵の光源にも使用できそうだ。狭角の場合は、発光部分のリアルな投影ができる。

 5)、12)は定指向性のためか、消費電流のわりにあまり明るくない印象を受けるが、実際の発光量は他の同電流のモデルと同一で、単に定指向性ゆえのようだ。放物鏡のモデルにも焦点可変モデルがあってもよさそうなものだが、意外とそのようなモデルは見当たらない(小型懐中電灯のハシリとなった米国MAG工業社の"mini"などは、放物鏡で焦点可変なのだが、MAG社以外のLED懐中電灯ではそのようなモデルは無いようだ。


 

グループ4)短距離無影灯型
 地図や書類の閲覧、細かな作業(ひょっとしたら傷の手当ても?)などにはグループ3が適用できそうだが、一般的な放物鏡タイプよりは使いやすいものの、やはり快適というには程遠いものがある。その原因は定指向性であっても点光源で、強い影ができること、何より明暗差が大きく見づらいことが考えられる。

また、放物鏡などの集中した照明は、その懐中電灯を持って照らしている者には都合よく目的対象を照らすことができるが、複数の者が何かを(例えば地図など)見る場合には、大変見づらい。

 このような目的には面光源である蛍光灯ランタンや多数の小型LEDを並べた(実質面光源の)ものに乳白(散光)フィルタを装着したものなどが有効のようだ。私も液晶画面(2~3インチ)のバックライト(冷陰極放電管光源)をこのような目的のために使用しているが、電池電源で使用するにはいささか消費電力が大きく、災害への備えや日常の持ち歩き装備にはやや使いづらい。

 LED光源の全方向性の「ランタン」も市販されているが、上から吊るして使用すると真下に暗点ができるし(加圧液体燃料のランタンでは、シェード(傘)を装備すると真下に暗点はできない)、テーブルに直置きでは光源位置が低すぎて皿の食べ物が何であるかもわからないし、書類に目を通すこともままならない。


 

自作

 ここで考えられることは、優秀な(発光効率、携帯性、信頼性において)LED懐中電灯に何らかのアダプターを取り付けて、その目的のために利用したいということだ。しかしそのようなアダプターをインターネットで探しても、あまり気の利いたアイテムは出てこないので、自作を試みる。

 求める要件はグループ4にふさわしい能力で、同時にローコスト、高信頼、小型軽量を要求したい。

 当初は円錐状のミラー、半球型のミラーを試してみたが、配光が良くない上に光源の懐中電灯との間に適度に距離をとらなけらばならない。配光が良くない理由は、懐中電灯そのものに放物鏡やコリメータなどがあるため、一様にはミラーに入光しないためである。またミラーではどのようにレイアウトしても面光源的ニュアンスは実現できない。

次に試した方法は、トレーシングペーパや硫酸紙などの散光フィルターを取り付け、面光源に変換する方法だ。

このような目的にはさらに光の損失の少ないモダンな素材がある。液晶画面のバックライトに使用されている散光フィルタで、これを細長い円錐状(長さ5~10cm程度、先端は尖らせ、根元は懐中電灯の口径に合わせる。裏表があるので注意・・つやあり面が外)に加工し、懐中電灯に取り付ける。

 この方法は非常に良かったが、バッグに入れて持ち運び中や保存中に、結構汚れたり折癖がついたりして、初期性能を維持しにくい。また懐中電灯への取り付け部も強度や装着具合を良くするにはそれなりに苦労する。

 同様の光学性能で、もっと機械的強度が高く、入手が容易で、加工しやすい素材を探していたら、それは意外なところに・・。

 シリコンコーキング材の先端ノズルが、まるでそのために作られたもののようにジャストフィットするではないか。1)、3)、4)、9)は先端の直径が20.5mmφ~21mmφで、シリコンコーキング材の先端ノズルの取り付けねじ山部分(内径)をある程度削れば、しっかりと固定できる。このノズルの材料はおそらくポリエチレンと思われるが、削りすぎた場合は、熱することで容易に曲げ加工できるので、良い装着具合に合わせこむことは困難ではないだろう。



 その気になって探すとこのノズルもいくつか種類があり、しかもノズルの単品販売もあるようだ。短いノズルではノズルそのものの明るさがあり、長いノズルではノズルそのものの明るさはあまり明るくならない。しかし、総光量はどちらもあまり変わりなく、しかも照らし出す対象物の輝度は大差ないという、おおよその傾向があるようだ。

 ノズルコーンを強く光らせることが目的ではないので、対象物の明るさが変わらないのならノズルコーンが明るすぎない方が、眩しくないぶん見やすいようだ。やってみなければわからないことの例だろう。このノズルコーンの発光に反射板を併用するのも悪くない。アルミフォイルや折りたたみレフ板なども良いだろう。

*チャージポンプ込みの自作については別文で