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サバイバーライフライン概論

 あまり大げさに考えなくても、それが単に日常のことや、レジャーなどのレクレーションであっても、取材旅行や素材収集のための活動(主にその想定だが)や、まさかの災害遭遇であったりその救援であったり、少しの準備とノウハウで快適に過ごすことができ、また未然に事故を防ぐことができる、かもしれない。

 しかし、何を想定すればよいのか、何を準備すればよいのか、少なくとも音楽・音響フィールドワーカー向けに書かれた指南書は見当たらない。命を落としてはフィールドワークも何も・・。

また、野宿でなくともこれらのノウハウは必ず役立つものと思う。また、国内のフィールドワークのみならず、海外での事情などもできるだけ含めるように配慮したい。

 本文は以下のグループに分けて論じるが、各論はそれぞれの項目があるので、以下を目次に代えたい。

1)ライトグループ
2)火気グループ
3)ライフグループ
4)お泊りグループ
5)水・食事グループ
6)電力グループ

に分類したい。

 以下は概論としての解説で、各論はそれぞれのテキストを参照し、また、ネット上にある文献なども参照することを推奨します。


 項目を列記してみると、6グループにもなってしまうが、活動維持や作業維持、さらには生命維持のためには、気を配らなければならない領域がこれだけあり、それらの何かが欠けるだけで快適さや安全性が損なわれ、フィールドワークどころではなくなる可能性があるわけです。

 

1)ライトグループ
 このテキストを書こうと思ったきっかけでもあるが、「近年の若者の挙動」を観察していると、あらゆる場面で「灯り」の重要性を軽視しすぎているのを目にする。

火の取り扱いどころか、暗闇の恐怖(不便さ)など考えたこともないのか、暗闇でバーベキュー、暗闇でナイトハイキング、暗くてリアパネルが見えない状態で配線作業、例をあげればきりがない。

しかも懲りない・・・。そんなこと楽しいわけないじゃないか。どこかのアニメの台詞ではないが、文明とは闇を削って得ていることを忘れているのではないか。

 

○運用時間
 近年LEDなどの新しい灯りが実用化されているが、信頼性や運用時間などについて何も把握していなければ、いざ使おうというときにさっぱり役に立たなかったりする。

市販の懐中電灯などには連続使用時間などの項目が表示されているものもあるが、その連続使用時間末期(電池がなくなってきたとき)には実用に耐えないほどの暗さになるものも少なくないし、数値そのものが全く当てにならない場合もある。

これに加えて、近年は電源である電池のタイプの選択肢が増え、それらをうまく選択すれば効果的な運用(十分な明るさで十分な時間使用できる)ができるが、実際には何を基準にすればよいのか、なかなか有効な情報がない。

装備なしは論外として、購入後に即座に実戦投入は危険すぎます。普段から持ち歩き、使用する習慣を身に付けることが有効であるし、実際に自分で消灯するまで使用テストし評価することや、各論の文にあるように電流などの測定で評価することはさらに信頼に結びつくことでしょう。

 また、乾電池以外の充電式の電池を使用する場合には、その知識も重要です。

 

○明るさ
  「ルックス」や「ルーメン」の単位で表されるが、配光などの問題があり、一概には論じられない。

「LEDライト考」などを参考に、実際に使用してみて、自分に必要な明るさ(配光なども)が得られるのか、評価すべき(それだけ選択肢がある)であろう。

もちろん明るいものほど消費電力は大きい傾向があるものの、実際には搭載されているLEDの発光効率は、LEDのモデルにより大きな差があり、安価な製品の中には電力ばかり消費して、さっぱり光らない(暗い)ものもある。実際に手にとって明るさを確認してから購入したいものだ。

 近年、非常に光出力の大きい製品も見られるが、それらのいくつかは1時間程度で電池を使い切ってしまうものも珍しくない。

 

○使い勝手
 多くのLED懐中電灯は棒状の形態だが、これを手持ちすると片手がふさがってしまう。使用者の頭部に付けられるようになった、登山者用のモデルも販売されているが、音響・音楽関係にはなぜか敬遠される傾向があるようだ。

私は何の抵抗もないが、私の教え子の一人は厳しく教え込んでいたにも関わらず、ミニマグライトを口にくわえ、ステージ周りの撤収作業中に転倒し、前歯を失い喉の奥をいやというほど強打し、修復に20万円も投じたとか。

ライトは手に持って何かを照らすことが目的ではない。「照らして何かをすること」が主体であることを忘れてはいけない。何かをするには両手を空けておかねばなるまい。

 棒状の懐中電灯を頭部にセットするためのベルトも販売されているし、自作も比較的容易だ。全体を幅広ゴム紐にするのは得策ではなく、ゴム部分は一部(4~5cm程度、2重)にして、残りは伸縮しない材料にすると使いやすい。

また、ゴム紐の多くは水に濡れると乾くまで伸びっぱなしになるものもあるので、それも考慮したいものだ。

 

○信頼性・貯蔵性
 ろうそくの右に出るものはない。

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