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5)水・食事グループ


○あらゆる場面で、水の確保は必須だ。

上水道がある場合にはそこから確保すればよいが、湧き水などの場合、日本国内であっても地域によっては非常にハイリスクな場合があるので、事前に情報を収集し、十分に注意しなければならない。

とくに飲料水を上水道やボトル販売されているもの以外から確保する場合は、安全化のための準備をしておくか、覚悟を決めるかしかない。


リスク!!
 エキノコックスなどの原虫を含む場合、各種のウィルスや細菌、毒性の強いカビなどを含む場合がある。原虫やウィルス、細菌の多くは煮沸によって死滅することがほとんどだが、それらが作り出した毒素は煮沸では消滅しない場合がある。中空糸繊維ろ過膜による浄水で効果的に取り除くことができるが、毒素そのものは同様に除去できない。


リスク!!
 原虫やウィルス、細菌、カビを含まない、清浄に見える湧き水の場合でも、砒素や重金属を多量に含んでいることも珍しくない。これらの物質が水に溶け込んでいる場合には、中空糸繊維ろ過膜でも煮沸でも除去できない。活性炭による除去が効果的とされている。


 このような点から災害時に対する備えとして、中空糸繊維ろ過膜による浄水装置と炭の備蓄が有効といえる。炭には黒炭(木炭)と白炭(備長炭など)があるが、重金属や毒素を吸着する能力があるのは白炭(備長炭)の方で、木炭には効果が期待できないので注意。

使用方法は、備蓄している白炭をハンマーなどで砕き貯水タンクに投入、中空糸繊維ろ過膜を通した水を、白炭タンクに移し、1時間程度吸着処理したら、炭分をメッシュやフィルターでろ過し、安全水タンクに移せばよいのである。

その状態では数日しか貯蔵できないので、貯蔵を必要とする場合には、塩素消毒剤(「ハイター」なら水20リッターあたり10cc、「風呂水ワンダー」なら20リッターあたり1/4粒程度)を投入し密栓。多少カルキ臭いが問題は無いようだ。カルキ臭がいやな場合は煮沸。

 このようなプロセスと同等の処理を、小型パッケージ化した製品も販売されている。
注)ハイターは使用できるが、キッチンハイターは使用できない。キッチンハイターには界面活性剤が含まれ、これを飲用すると消化管出血などで大事に至ることもある。塩素剤を購入する場合は、界面活性剤を含有するかどうか、成分表示を確認すること。
「水考」を参照下さい。

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