○簡単な回路説明


 定型の回路なので、TTLの使用経験のある方なら何の説明も不要と思うが、U2~U5は10進アップダウンカウンタで、単に数珠繋ぎになっているだけ。

慣れない人はそれぞれに足がたくさんあり大変そうに見えるが、それぞれは1本の入力、1本の出力、とリセット入力しか使用していない。(それだけではさみしいので最小桁と定確度進捗表示が付けてあるが、動作のための必須部分ではない・・・不要な場合はHC42 2個とLED20個は実装しない)

 やや配線が面倒なのはHC14周辺で、コンデンサと抵抗によるディレー、ダイオードOR。

 動作は、入力したパルス信号をカウンターで読み込んみ、そのまま1/10ずつ3段(=1/1000)分周している。U5のみ入力を切り替えるようになっていて、入力(1/1)、U2の出力(1/10)、U3の出力(1/100)、U4の出力(1/1000)のいずれかからU5へ入力し、その結果U5の出力には入力の1/10から1/10000に分周したものが出てくる。4段とも接続を固定し、各桁から出力せずに、U5を出力への固定にした理由は、U5が常に最大桁になることで、その表示が全体の進捗状況を表すことになるからで、4段とも接続を固定してしまうとこのような表示ができなくなるため。

 出力へのタイミングは、ストップウォッチのリセットスイッチへは、最大桁(U5)のカウントが9のダウンエッジで一発、0のアップエッジでもう一発パルスを出力する。ストップウォッチのセクションラップ機能で、ストップウォッチをスタートした後、リセットを一回押すとラップタイムの表示(表示はそのラップの数値を固定表示)、もう一回押すと現在周回中のラップのアップカウント表示、次の一回でそのラップの数値を固定表示、というふうに、1ラップごとに2パルス必要。この操作を満たすためにC、R、のディレーを使用している。

 (もちろん、あまりに頻繁なパルス送出をすると、どこかで動作位相が狂い、正常な表示ができなくなる可能性があるが、その場合でも手動でストップウォッチのリセットボタンを一度押さえることで回復する。

 PCへは最大桁の桁上げ(キャリーアップ信号:アップエッジ)をワンショットパルスに整形しそのままマウスへ送り、SGWatch.exeでロギングする。カウンターの動作から、入力をカウントし10、100、1000、10000毎(選択)に1つのパルスが送られることになる。

選択はreliability selectスイッチで行う。この部分も設計当初はOPTIONにあるように74HC251で選択していたが、品薄で入手が面倒、わざわざ使う必要もないだろうということで、スイッチに変更。さらに多機能にして、セッティングを記憶させる場合は必要だろう。




☆万歩計をカウンターとして使用する場合の工夫


万歩計へはU2の出力(入力X1/10)したものを送っている。もともと分周の考えは万歩計を使ってみたいという単純なもので、そのためには万歩計の「最大カウント=3Hz」の壁を何とかしなければならない。最大カウント時の線量当量を概算してみよう。

最大カウントは毎分では3×60=180(CPM)で、SbM20ではおよそ1μSv(マイクロ・シーベルト)となり、これを超えるカウントは読み飛ばしが生じ、正確さを欠くものになってしまう。さらに現実は厳しく、ガイガー管からの出力は不規則にランダマイズされているため、あるところは短時間で次のパルスが、あるところはなかなかこない、という繰り返しで、読み飛ばし率10%以下では180CPMの1/5程度になってしまい、この読み飛ばし率でカウントできるのは0.2μSv程度ということになる。

 これではバックグラウンドと大差ないので、何のためのカウンターなのか・・。1/10にプリスケールすることで、その10倍の線量当量(2μSv)程度まで安全にカウントできるようになる。万歩計への出力は1/10分周固定であるが、U3の出力に変更すると1/100分周となりそのときの線量当量は20μSvになる。もしU3から万歩計へ出力を送るなら、U3にも表示を付けなければ数値が読み取れないが、HC42+LED10個の場合は、消費電流はLED1個分の増加で済む。

配線に関しても、表示器に10LED素子のバーデイスプレー(近年販売されている)を用いると、74HC42と表示機を合体させアセンブリー化することで、HC192からの配線を電源を含め6本にすることができる。(ピンの並びがよく合うので、表示器とHC42をはめ込み、足同士7本は直結できる)

 カウンターそのものの最大カウント速度は電源電圧の低さ(通常は5vだが、このセットは2v動作を目指している)では相当に低下してしまうが、それでも数百KHzは確保できる。

もしガイガー管にさらに高感度のもの(例えばバックグラウンド=80CPMなどの)を使用する場合などは、万歩計へ入力するのに1/1000以上にプリスケールの必要があるだろう。高速に高確度、従来からの定時間でのカウントを両立するには、カウンター専用チップを用いた回路例を参照下さい。

この万歩計のカウントは、積算線量当量で、計数した時間でカウントを割ることで、その間の平均被ばく線量や積算した被ばく線量を得るためのもので、毎分あたりのカウントを得るような設計にはなっていない。毎分あたり(あるいは単位時間あたり)のカウント数を得るには、他の2例の作例を参照下さい。

 回路出力系は、ストップウォッチのリセットスイッチへの出力、PCマウスホィールスイッチへの出力、万歩計への出力で、それぞれの出力へ適合するタイミングで動作させている。