トラブルシューティング                         (C)Y.Utsunomia 2008-2010 [1] 症状:起動してもデスクトップに画面が現われない。タスク・バーには起動を示す表示    がある。 原因:おそらくはver,1.3.x系のバグで、2重起動(とくに最初のaudacityを最小化した    状態で2重起動)したときに、コンフィギュレーションに異常な数値が書き込ま    れるため、audacityは起動してはいるのだが、最大化以外の状態では画面外で開    いてしまうため結果的に画面表示されない。 対応:簡単には、タスク・バーのaudacityを右クリックして、最大化すると正常に表示    される。 対応2:ver,1.3.xのコンフィギュレーションは一般的に    C:\Document and Settings\ユーザー名¥Application Data\Audacityの中の    audacity.cfgにある。簡単に済ませるには、このファイルを抹消するか、ファイ    ル名を変更するとaudacityは初期化され、初起動と同じ状態で起動できる。    このファイルはaudacityが再び自動作成する。  注意)上記アドレスの¥Application Data は不可視属性であるため、操作するには    (たどり着くには)不可視属性であっても表示できるようにコントロールパネル    から「フォルダオプション」→「表示」→「すべてのファイルとフォルダを表示    する」にチェックを入れなければならない。  注意)このファイルはaudacityの全てのセット状態を記憶しているので、すべてのセ    ッティングを、もう一度最初から行う必要がある。  注意)ポータブル化している場合は、portable settingフォルダの中にある。 対応3:このファイルの異常数値の部分だけ修正する。異常部分だけ書き出すと     [Window]     Width=250     Height=494     Maximized=0     X=-31975     Y=-31975     この欄全体が異常な数値なのであるが、とりあえずX=とY=をそれぞれ0に書き    換えると通常のデスクトップ位置の中で開くようになる。(メモ帳にドロップし    て修正し、上書き保存) *非インストール型のソフトもてなし   ソフトウェアに無理な使い方を要求したり、無理な操作を繰り返すと  稀に異常な動作に陥り(ソフトが壊れたような・・再起動しても回復しないような)、  不安になったりするものだが、作者に苦情をメールする前に、使用者としてやってみ  るべきことがいくつかある。  ○多くの非インストール型のソフトではレジストリを使用する代わりに、初期化ファ  イルを作成している。とくに取り決めがあるわけではないようだが、大抵は、.ini  の拡張子を持ったファイルで、そのアプリケーションプログラム(ソフト)が自動的  に作成し、ユーザーの設定が変化したりすると、自動的に(大抵はソフトの終了時に)  更新する。(audacityでは.cfg=コンフィギュレーション :トラブルシューティン  グの項を参照)無理な要求や操作は、ソフトの異常動作や異常終了を招き、その結果  このファイルに異常な数値が書き込まれたりすることがある。   非インストールでレジストリを用いないフリーウェアの多くでは、その実行ファイ  ルが所在するフォルダにこの.iniや.cfgを作成するが、audacityのようなソフトで  は、それがどこにあるのかはなかなか見つからないこともあるし、非インストールと  言いながら、実際にはレジストリに依存しているものも結構ある。  参照)audacityのコンフィギュレーションは、C:\Document and Settings\ユーザー名  ¥Application Data\Audacityフォルダがデフォルトだが、非インストール版で持ち歩  いたり、コンフィギュレーション共有をしたくない場合、その非インストール版  audacity.exe(実行ファイル)を置いたフォルダに、portable settings という名称の  フォルダを作成し、上記アドレスのAudacityフォルダの中身をコピーすると、次の起  動からそちらのコンフィギュレーションやEQデータが使用されるようになる。  ☆この問題を解消するには:   思い切ってこの.iniや.cfgを消去してみよう。大抵の場合はソフトが初期設定で  自動的に「はじめまして」状態にもどり、このファイルを作成してくれます。  消去が怖い場合は、ソフトから見えない場所に移動するだけで可能です。もしも自動  作成されなかった場合は、元のフォルダに戻せばよいだけです。このように.iniや  .cfgを差し替え入れ替えし、何が原因なのかを絞り込んでいく。(また大抵の場合  これらのファイルはプレーンテキストなので、メモ帳で見たり改変できる)  (ときにバイナリファイルのこともあり)   異常があまりに頻発する場合は、状態の説明と、サポート依頼メールにこのファイ  ルを添付することで対応が早まることもある。もちろん症状を再現できるデータも  添付しなければならない。    レジストリを使用しているもので同等の作業は、そのソフトに附属しているアンイ  ンストーラープログラムを使用するか、Windowsの「プログラムの追加と削除」から  行うが、正式にインストール処理せずにレジストリを書き換えている場合には、こ  の作業で元に戻すことはできない。   このような場合を想定すると、システムアーカイバー・ソフトでガードするか、  レジストリ・エントリ・ファイルを作成し復元ポイントを確保するべきだろう。  「必要ハード」の項、Windowsの設定を参照    ○ごく稀にではあるが、プログラム本体が損傷することもある。  このような場合に備えて、配布用の圧縮された(多くは.zipや.LZHなど・・ .exeの  場合はインストーラーの場合と単なる圧縮の場合があるようだ)オリジナルファイル  を保存し、展開し直すことも有効である。  ☆筆者の場合は有償ソフトも大容量のインストーラごとC:以外のパーテションに格納  するよう習慣化している。これにより修復やカスタマイズがきわめて容易に行える。  確かに普段使用しないものを常備することは一見無駄に思えるが、意外と役に立つも  のである。(さすがに超大容量の地図・・・筆者は地図を眺める趣味が・・・のインストーラ  は入れていないが) _______________________________________ [2] 症状:複数のトラック(16トラック以上)を読み込み、とりあえず再生して    みると、それぞれのトラックが同時にスタートせず、ばらばらに再生され、あげ    く停止ボタンも効かない。閉じようとしても「応答なし」に・・・。 原因:audacityはまじめなソフトです。全てのトラックをそのままのビット深度で、内    部演算は単なる再生なのに32bit浮動小数点でまじめに出力しようとします。する    と、マシンやメディアへのアクセスや処理が間に合わなくなり、指摘の症状が現    われます。     いくつかの著名DAWソフトでは、切り貼りや各種の命令は、ビット数を端折っ    た中間ファイルで行っていたり、操作中に現れる波形や再生音の全てが影武者や    圧縮オーディオであったりする。これらの操作で得られた加工情報を集計し、フ    ァイル書き出し時にまとめて処理を行うものなど、まだ良心的。ひとえにこのよ    うなトリックが成立するのもパソコンでの一連の作業品質(モニター音)が悪す    ぎることが原因だ。まじめに処理を行うとこんなものだと思います。 対応:内部処理のビット深度を浅くする。「編集」→「設定」→「品質」の既定サンプ    ルフォーマットはデフォルトで32bit-floatになっていますが、ここをそれ以下    の深度にすると処理は大幅に軽くなります。しかし品位も相当に悪化するので、    あまりすすめられません。    読み込みファイルのビット深度を浅く変換してから読み込むと、さらに軽くなり    ます。 追加改訂:ver,1.3.11(1.3.8以降)では、「編集設定」→「設定」→「ディレクトリ」    でオーディオキャッシュのサイズを設定できるようになったが、適切に容量設定    (通常256MB程度)を設定することで、多トラック再生は相当に有利になった。    ただしこのサイズは最低値の設定で、実際にはキャッシュの使用を設定すると、    audacityは使用できる最大限を得ようとするが、もし他のソフトが使用していた    りすると確保できず、故に起動の順番や状態によって、動作状態が変化する。    この機能を生かすには、メモリーを多く実装するとそれなりに効果があるよう    だ。また、この設定は、次回の起動から有効になる。 対応3:アクセス速度の速いメディアにコピーしてから作業を始める。フラッシュメモ    リーやUSBメモリーから直接読み込みすることはやめ、一旦ハードディスクへコピ    ーしてから作業を行う。また、ハードディスクも高回転の高速アクセスのもので    はそれなりの改善が期待できる。(意外なことに、光学メディアからの直接読み    込みでは高パフォーマンスが出ることがある)    この点については、「ポータブル・レコーダーとの連携」の項の「読み込み手順に    よる作業時間の違い」についての、実測データなどの記述があります。     小容量ドライブのノートPCなどで作業を行う場合は、IEEE I/FやUSB2.0で3.5    インチの外部ドライブ上で作業を行うことを強く推奨する。     後差し認識よりも起動時からの認識の方が早くなりますが、中途切り離しでき    なくなる可能性が高まります。 対応4:audacityには独自の断片化エンジンが搭載されており、これを有効にするに    は、一旦プロジェクトファイルを作成することが必要となる。このプロジェクト    ファイルからのアクセスで、パフォーマンスはかなり改善される。(ただし、    「常に全てのオーディオファイルをプロジェクトにコピー〜」を指定した場合。    またプロジェクトファイルを置くハードディスクの空き容量が十分にあること。    ・・・必要ハード構成の項を参照) 対応5:拡張された多チャンネル仕様のwavファイル形式で一旦出力し、そのファイルを    読み込むことでアクセス速度に起因する問題は、大幅に改善できる場合がある。    (ハードディスクドライブに限り)    「拡張wavファイルについて」を参照 _______________________________________ [3] 症状:効果などの処理を行ったとき、プログレス・バーは作業終了しているのに、なか    なか操作できるようにならない。 症状:効果などの処理を行おうとしたら、その直後から操作ができなくなった。 原因:プログレスバー(進捗計)は処理そのものについての表示しか行わない。しかし    必要なaudacityの処理はそれだけではなく、新たに表示波形のデータ作成や、い    くつかの再計算をしなければならないが、そのときの処理についてはプログレス    バーの表示は出ない。     とくに長尺のトラックを処理する場合、例えば「増幅」などの比較的軽い処理    の場合、表示波形の更新が意外と時間を必要とするようである。     またスペクトログラム表示では、表示用データの作成がかなり重いようで、動    きや表示更新が相当に緩慢になる。     処理の種類によってはプログレスバーが出ないこともある。 対応:使用者の心配は、ハングアップしたのではないか、などの異常な動作に対する恐    れなのであるが、作業進行中の表示が無いのは心配なものである。    一つの参考は、PCのHDDアクセスランプとアクセス音を観察してみることで、アク    セスランプが点滅し、カリカリとアクセス音がしているときは、何らかの作業を    黙々とこなしているので、温かい目で見守ってあげよう。Audacityを閉じようと    したり、画面を切り替えようとしても、原則的に受け付けられず、それらの操作    は異常終了の原因になる。 対応2:CPU稼働率メータなどを装備し、実際の動作を監視することで、audacityとユー    ザーとの信頼と絆は深まる。TinyMon.exeを推奨。(そのほかの有用なソフトの項    を参照) (Windowsに標準装備されたタスクマネージャーを使用することは推奨しない) _______________________________________ [4] 症状:プログレス・バーが途中で止まってしまう 原因:audacityのプログレス・バーは、たしかに処理の進捗状況を表してはいる。しか    し、処理が進んでいるときに必ずしもプログレス・バーが現れ、進捗表示してい    るわけではなく、例えば画面の更新などには何の表示もでないが、長尺の処理で    は、相当な時間をかけて新しい表示波形を作成している。     また、長尺の処理では処理の中途で処理そのものにインターバル(付随の処理    を行っており、サボっているわけではない)が入り、その間表示だけ見るとハン    グアップしたように見えるが、多くの場合は正常処理中。 対応:上記同様に、関係するハードディスクドライブのアクセスランプやアクセス音を    観察する。異常状態では、アクセスランプは消えアクセス音もしない。     このような正常状態で強制終了することは危険であり、大量の不正テンポラリ    ファイルが作成される原因になる。    またaudacityの設定などを保存するために自動作成されるコンフィギュレーショ    ン・ファイルに、不正なパラメータが記録される原因にもなる([1][25]を参照)。     audacityは滅多なことでは落ちないし、また異常が発生した場合はほとんどの    場合、そのメッセージが表示される。    (上記前項のTinyMon.exeなどのCPU稼働率メータを装備することを推奨) _______________________________________ [5] 症状:重い処理の場合(イコライゼーションや新規に搭載された「時間軸のスライド〜    」)などで、長尺ファイルを処理途中にランタイム・エラー(表示あり)が発生    しaudacityが落ちてしまう。 原因:不明 対応:この問題を調査してみると、PCのハードウェアにより、エラーが出る容量がほぼ    一定していることがわかっている。例えばイコライゼーションの場合、1トラック    の処理で、一度に指定できる長さは、あるハードでは50分(48KHzfs)で、別のハ    ードではまったく同じ処理で140分とばらつきがある。またハードディスクそのも    ののスペックが上がるとより長時間までこのエラーがでなかったりするが、搭載    メモリーのサイズやビット深度には依存しない。     この問題が気になる場合は、事前に自分のPCではどのくらいの大きさまで連続    処理できるのかチェックしてみたほうが良いと思います。     ちなみに同時処理するトラックが増えると、この時間は反比例して短くなる。    モノ・トラックで100分連続処理できる場合、ステレオでは50分が1度の限度とな    ります。   * 通常、軽い処理である「増幅」などではこの連続処理限界はないようです。 追記*ver,1.3.11以降では、EQなどの長尺処理でもランタイムエラーは発生しにくくな    っているようです。4〜5時間(4〜5GB)程度の連続処理では、落ちないことが確    認できています。 _______________________________________ [6] 症状:トラックを選択し、選択範囲を書き出しでファイル出力すると、サイズ0KBのファ    イルしか出力できない。 原因:選択の方法が間違っている。波形の表示領域でクリックし選択すると、範囲は1    ワードのみ選択される。DTM用途ではそのような使途はないが、測定などのデータ    解析では必携の機能なのです。 対応:選択はトラックの波形表示領域ではなく、その右側のトラックステータス表示窓   (サンプリング周波数やビット深度が表示されている枠)を左シングルクリックし、    そのトラックの波形表示領域全体が濃い色に変わったことを確認し、「選択範囲    を書き出し」を実行する。(「ファイルの開閉」の項を参照。 対応2:ファイル出力したら、そのファイルサイズを確認する習慣を身に付けよう。    もちろん確認とは、「出力される」であろうファイルサイズを暗算予測し、その    サイズに近い出力がなされたかどうかを確認することです。    同じサンプリング周波数、ビット深度で、モノ・トラック・ファイルはステレオ    の半分のサイズになっているはずだし、ビット深度を24bitから16bitに変更する    と、サイズは2/3になっているはず。1時間あたり、ステレオ48KHz、24bitファイ    ルは、およそ2GBに、16bitならおよそ1.3GBになるはずだ。 _______________________________________ [7] 症状:ファイルを読み込み、しばらく作業を行っていると、ディスクフル警告(ディス    クの残り容量がありません・・・など)が出る。 原因:audacityは無制限UNDOができる完全非圧縮処理のソフトで、それ故に入出力ファ    イル容量以外に、少なくともその3倍以上(余裕を見るなら20倍程度)の空き容    量を確保する必要があります。    それは、audacityがその作業上、一時的に作成する(テンポラリーファイルとし    て)領域が非常に大きいためなのですが、このファイルはaudacityが動作してい    るときにだけ作成されるため(audacityを正常終了すると消去される)ユーザー    はその存在にあまり気付かない。この部分にすべてのデータが残っているから    UNDOできるということを忘れないでいただきたい。 対応:何かの処理途中であっても、その処理をすぐに「中止」する。    そのまま「ディスク・フル」になってしまうと、にっちもさっちも行かなくなる。    ディスクフル状態では、普通に「消去」することすら困難となり、一切の作業が    膠着状態になってしまうので、そうなる前に正常終了する。正常終了するとテン    ポラリーファイルが消去されるので、終了と同時に空き容量が発生し、普通にフ    ァイルの出し入れができる。ディスクフルでaudacityが落ちると、このテンポラ    リーファイルが消去されず、文字通り身動きできない状態となるので注意。   対応2:「必要ハード」でも触れているが、快適使用のためには、相当な容量のハード    ディスクを目的別(入出力ファイル用、テンポラリー用、プロジェクトファイル    用)にそれぞれ100GB程度の別パーテションで用意するくらいで、ちょうど良い    サイズだろう。    別パーテションで用意するのは、それぞれ単独でフォーマットできるようにする    ためだ。     使用前にフォーマットすることは操作の快適性と安全性に大きく寄与する。 _______________________________________ [8] 症状:一部のPCハードに見られる症状で、ファイル読み込み時にver,1.3.6以降ではプロ    グレスバーの代わりにトラック全体の巨大プログレスバーがあらわれるが、読み    込みを終わっても、通常の波形表示にならない。 原因:おそらく何らかのバグ。 対応1:波形表示のズームボタンを拡大していくと、ある倍率から表示回復する。 対応2:涙を呑んで、ver,1.3.5以前のものを使用する。 対応3:「編集」→「設定」→「取り込みと書き出し」の「編集の前に、非圧縮オーデ    ィオファイルをコピーする」にチェックを入れると、読み込み時の表示が、ver    ,1.3.5以前のプログレスバーに変化するので、正常に波形表示できるかもしれ    ません。いくつかのケースではこの設定で正常化します。 _______________________________________ [9] 症状:何度切り貼りしなおしても編集箇所で「プツッ」というノイズが生じる。 原因:切り貼りしようとしている音信号に含まれる直流成分(DCオフセット)値が異な    るため。    とくにオンボードのA/Dコンバータで録音するとDCオフセットが大きい場合があり、    これを切り貼りすると、切り貼りした場所に階段状の段差ができてしまい、その    部分がノイズの原因となる。 対応:そもそもDCオフセットがある音信号を編集することは、編集以前に問題であり、    このDCオフセットを取り除く必要がある。    オフセットは正規化コマンド(効果に含まれる)のチェックマークで取り除くこ    とができ、編集前にオフセット除去を行うことで解消できる。    ただし、全選択でこの処理を行うと、無音部分に「跳ね返りオフセット」(逆の    極性方向にオフセットする)が出る場合があるので、処理後に波形をよく観察し、    必要なら分割指定して処理を行う。 対応2:オフセットでなくとも極低周波(数ヘルツ)の信号を含んでいると、やはり    「プツッ」ノイズが出やすくなる。オフセットも極低周波もイコライゼーション    で取り除くことが可能で、編集前に不要成分を取り除くべきであろう。ハイパス    フィルターの設定周波数は含まれる極低周波数にもよるが、カットオフ15Hz程度、    傾斜最大に設定すると、音への影響を避けることができるであろう。    実用的には(音楽録音物に限る)、このイコライゼーションによるハイパスフィ    ルターの方が有利かもしれない。  * いずれにしても原因がオフセットの場合は、それをすぐに発見し修正する。状態    としては恥部だ。 対応3:ペンシルツールのドローで段差ができた部分を修正する。(なかなか難しい)    表示を対数波形にしておくと見やすいが、対数表示の状態ではドローできない。 対応4:「プツッ」というノイズ部分に対して−40dB程度のレベルドロップをつくる。    編集末期でやり直しができないような場合、十分に短時間であれば、ドロップア    ウトを故意に作ることで、ノイズを聴こえ難くすることができる。(ドロップア    ウトは聴覚訓練を受けた者以外は認知しにくい)  * 対応3、4は、オフセットの存在している状態で、編集などを行い、UNDOもでき    ない状態の処方だ。 _______________________________________ [10] 症状:1000.00Hzの正弦波を製作で作ったが、パソコンのオーディオ出力に周波数カウン    ターを接続して周波数を測定してみたところ1000.12Hzだった。その程度の精度し    か得られないのか? 原因:audacityに限らず、ソフトオシレータの現実的出力精度はその程度です。精度は    「論理精度」と「実行精度」に分けて考える必要がある。ソフトウェアが参照す    る時間軸の基準は、そのソフトウェアの設計思想にもよるが、一般にパソコンの    内部バスクロックを参照する。パソコンにはその能力を表す数値に「CPUクロック    」があるが、ペンティアムシリーズでは動作モードや温度により大幅に変動する。    (ノートパソコンではバッテリー起動するとCPUクロックが通常の半分程度に落ち    るものもある)DSPなどのリアルタイム専用設計であるならプロセッサクロックは    高精度に一定を保つが、一般事務処理にターゲットされたCPUでは致し方ないこと    なのである。     このような事情があり、一般にはCPUクロックは時間軸の基準としては用いられ    ず、一定したバスクロックが使用されるのであるが、このクロックの源は内部の    水晶振動子で、精度は数百ppm(1ppmは1/1000000)程度である。デジタルオーディ    オコンポなどでは100ppm以下なので、オーディオとしては相当に精度が悪いと考    えられる。     1000Hzの100ppmは0.1Hzなので、測定された1000.12Hzは比較的高精度と言える    かも知れない。     論理精度とはこのようなパソコンの現実的精度は除外し、ファイルとして、あ    るいはサンプリング周波数に対する信号周波数精度で、例えばサンプリング周波    数が48KHzとするなら1000.000Hzの1周期は48.000000サンプルで構成されるので、    正弦波1周期360度を48分割し、1サンプル7.5度ずつ計算で求めるというもので、    精度とは小数点以下を何桁まで計算したか、という概念です。 対応1:入出力のオーディオインターフェースに、外部クロック(ワードクロックある    いはワード・シンク)入力を備えたものを使用し、その外部クロック入力に正確    なワードクロックジェネレータからクロック供給したうえで使用する。例えば    RME9652などの製品を用いる。 対応2:パソコンからのリアルタイム出力には過剰な期待はせず、なんらかの専用ハー    ドを用意し、現実の特性を向上させる。     本テキストでは組み合わせるレコーダーハードとしてAlesis社のHD24を推奨し    ているが、HD24にファイルを送り再生しても、やはりHD24の内部クロック精度    (±100ppm強程度)以上にはならない。HD24に外部ワードクロックを供給すると、    そのクロックジェネレーターの精度が得られる。     結局は外部ワードクロックジェネレータと、それを受け付けられるハードが必    要になるようだ。  対応3:誤差が正確に計測できるのであれば、その誤差を校正値係数とし、計算によっ    て求められる「真値」の得られる「入力値」を入力し、実質を得る。しかし温度    係数などの問題を考えると、やはり一定以上の精度を得るには、2の方法しかな    いのかもしれない。 対応4:パソコンを分解し、精度にかかわっていると思われる水晶発振器を温度補償つ    きの高精度モジュールに交換する・・・・。しかし内部クロックそのものがPLL    合成なので、結局は一定以下の精度、ジッタにはならない。 _______________________________________ [11] 症状:audacityやWaveGene.exeで数百Hz〜数KHzの信号を作成し、うっとりと聞きほれて    いたらPCの挙動がおかしくなった、あるいは応答不能になった、あるいは「ブル    ーサンダー」(画面が青一色に変わり、タイプ文字で何やらエラーメッセージを    一瞬表示し、そのまま再起動あるいは、「落ちて」しまうなど)が召還された・・・。  参照:ブルーサンダー≒カーネル・パニック 原因:意外と知られていないことであるが、ハードディスクの構造はプラッターと呼ば    れる磁気円盤と、それに読み書きを行うヘッドで構成されている。ヘッドはプラ    ッター上に僅かな距離(1ミクロン程度)を保って浮上しているが、外部からの    振動や音波によって、このプラッターやヘッドが共振を起こし、一定距離を保て    なくなる=正常な読み書きができなくなる。このため一定時間後(一定時間の間    はリトライを繰り返す)にはPC上のOSシステムはハードディスクを失い、やがて    上記のような症状が現れる。     筆者はライブ会場などでも録音業務を行う必要から、この問題に関する独自の    調査を行ったが、音圧にして僅か80〜90dBspl程度、周波数はハードディスクの    モデルにより異なるが、多くのモデルでは500Hz〜2KHzのどこかでこの共鳴は起    こることが多い。この音圧は決して大音量とは言えず、実際に筆者は「声でワイ    ングラスを割る」ならぬ「声でPCにブルーサンダーを呼べる」ようになってしま    った。(なかなかブルーサンダーは来ないが・・)     こんな具合なので、ステージでPCを使用するユーザーは多いが、止まって当た    り前なのである。筆者はこの問題に気づく前はUPSなどの使用で何とかなると思    っていたが、そうではなかった。かつてUPSやバッテリーの使用をアドバイスし    た皆様、申し訳ありませんでした(^^!)    ハードディスクドライブを鉛の板で厳重にくるんでください!!また、モニター    スピーカーからできるだけ離してください。     多くの場合、この読み書き不能状態は一時的なものだが、ライブ会場などで、    PAスピーカーの近くでは、一時的ではなく永久的にハードディスクがダメージを    受ける場合もあることがわかっている。おそらくはプラッターそのものに傷が入    ったか、あるいはヘッドが損傷したものと思われる。このダメージを体験したエ    ンジニアの話によると、スネアドラムの一打でそのドライブは使用不能になった    そうだ。    また、ヘッドはプラッターから浮上していると説明したが、これはプラッターが    一定回転数で高速(5400回転/毎分、7200回転/毎分など)回転する際に、空気を    分子間引力で巻き込み空気層のクッションがあるからで、従って超高空や真空中    あるいは異なる大気組成ではクッションが効かず、従って正常動作しないとか。    筆者は心配性なので、デフラグメンテーションで温度上昇が無いドライブでは    ハードディスクドライブの吸気口部分に「エアバッグ」を装備している。効果の    ほどは不明だがとりあえずノントラブルではある。    かつてハードディスクはよくクラッシュしていたが、これはシッピングゾーン    (最内周あるいはプラッターの外、メーカーにより異なるが)に入る前にプラ    ッターが停止、結果ヘッドが記録部分に着地(接触=損傷)することで、その    事故は起こり続けていたが、現在のドライブではドライブ自身がヘッドを管理、    プラッターの回転が異常になったり、アクセスが一定時間無かったり、電源が    突然切れた場合にもばね仕掛けで、自動的かつ高速ににシッピングゾーンまで    戻り、安全を確保するような機構になっている。かつてはOSがこの管理を行い、    ユーザーが手動で(Escキーなどで)シッピングゾーンに戻していた。OSが異常    になるとそれだけで・・・。おおおそろしや。 対応: とにかくハードディスクドライブに振動や音波が加わらないように配慮する。    共鳴を起こす周波数では、80dB以下でもこのような状態になるので、スピーカー    やトランスなどから離すことを心がける。筆者は大学などでも教鞭をとったりし    ているが、ある日の授業で、パワーアンプの上にPANASONIC製 M-34(振動や衝撃    に対して最も強いとされるノートパソコン)を置いて講義をしていたところ、    ブルーサンダーで終了してしまった。多くの「重い」パワーアンプやミキサーの    パワーサプライには、巨大な電源トランスが内蔵されているが、トランスからは    大なり小なり磁力線が漏れており、ハードディスクの正常な読み書きを阻害する。     この振動や音波の害について筆者が始めて遭遇したのは、そのときに使用して    いたデスクトップ機がNEC製のMA20vという機種で、内蔵スピーカーとハードディ    スクドライブが極めて近いレイアウトになっており、内蔵スピーカーから1KHzの    正弦波を出しているときに限り、不審な動作をすることから気づいた。通常の音    楽信号では、ハードディスクのS.M.A.R.Tログを調べても何の問題もないものが、    正弦波信号では特定の周波数で極端にリトライ回数が増え、あげく強制終了して    しまうのである。もちろん上記の機種の欠陥というのではなく、この機種は現在    でも愛機の一台である。ハードディスクとは、そういうものなのだ。     この文では作業ドライブを増設することを推奨しているが、その置き場所には    十分注意していただきたい。     _______________________________________ [12] 症状: カーソルを波形の開始位置付近に持っていこうとしたら、ついその左のレベル    表示尺の枠内でクリックしてしまい、波形が拡大表示になり、うまく収まらなく    なった。 原因: 「レベル表示尺」の設定が変化してしまった。 対応: 「レベル表示尺」を自由に変更できることがaudacityの特徴のひとつといえる。    audacityを使いこなすにはこの部分の操作を練習することが望ましい。    (「トランスポート」「トラックレベル表示」の項を参照)    簡単に元に戻すには、表示尺枠の中で右クリック連打し、クリックしても表示が    変化しなくなったら、一度だけ表示尺枠内で左クリックするともとの表示状態に    なる。   _______________________________________________________________________________ [13] ファイルの破損・修復の項を参照 症状: フィールドワークしてきた音データや、他人からもらった音データを、audacity    で開いたら、途中までは正常に波形表示されて音も再生できるが、途中からフル    スイング(最大レベル=0dBに達したことを指す)のホワイトノイズになってしま    う。またそのノイズ部分を注意深く聴くと元の音らしきものがかすかに聴こえる。 原因: これらのデータは何らかのコピーを経て(それがオリジナルのフラッシュメモ    リーカードであっても)読み込まれるが、そのどこかの過程で1バイト(8ビット)    あるいは数バイトの欠落が生じワードのフェーズ(位相)ずれが生じるためにこ    のような結果となる。    16ビットデータは2バイト、24ビットデータは3バイト単位で1ワード(最小単位、    あるいは1サンプル)を構成するが、何らかの原因で1バイト欠損すると、それ以    降の部分の下位8ビットと上位8ビットが入れ替わってしまい(16ビットの場合)    ノイズ化してしまう。    この現象はコピーのどの過程でも生じる可能性があり、とくに虚弱な通信回線に    よる伝送や、バッテリーを内蔵したハードディスクドライブ(フォトストレージ    ャー)にストレージしたとき、あるいは低速のカードやカードリーダを使用した    ときに、ときに発生する。    ちなみに8ビットデータでは欠落は欠落だが、それ以降がノイズ化する症状は起    きない。 対応:「ファイルの破損と修復」の項を参照     あわてずに、データの最初からいくつのサンプルのところからノイズ化してい    るかを書き留め、念のために再度読み込みなおしてみる。audacityの場合は、途    中からノイズ化したトラックをそのままに、再度読み込み直すと容易に場所の比    較ができる。    もし異なる場所で発生しているなら、何度か読み込み直すと正常に読み込める場    合もあるかも・・。(もし正常に読み込めたら、さっさと正常なドライブへ書き    込んでおく)何度読み込み直しても同一場所でノイズ化が起こるようなら、その    読み込んでいるメディアにコピーをするときに上記の「バイト欠落」と「ワード    のフェーズずれ」が起こっている。     以下はそれなりに専門的な処理であるが、確実に修復できる可能性があるので、    とくに重要なデータで生じた場合には「必ずコピーを作成し」修復実行する価値    がある。またそのような事態に備えてシミュレーション訓練(故意に1バイト欠損    をつくり、それを修復すること)してみることも楽しい。 <これに対応する練習問題が、練習問題第一集に含まれています>    「そのほかの有用なソフト」に推奨される「バイナリー・エディター」やそれら    と同等のソフト(一部のマシン語モニターなどであるが、推奨フリーソフトは十    分に高性能です)を用意する。    詳しい解説は限られた紙面では不可能だが、普通のテキストエディタなどと作法    は同じで、読み込んだ内容を変更し上書きすれば、元のファイルを書き換え、名    前をつけて保存にすれば新たにそのファイル名でファイルが作成される。    また表示は画面左側に16進コード(バイナリなので2進表記したいところだが、    それでは画面を多く使いすぎるので、一般的に16進<0、1、2、3、4、5、6、7、    8、9、A、B、C、D、E、F>2桁、例えばFFとか)を、 右側に16進2桁で表現され    る文字キャラクタを表示することが慣わしとなっている。「16進2桁で1バイト・    ・・重要!!!」     難しそうに見えるが、欠損のあるデータをドラッグアンドドロップで読み込ま    せてみよう。16ビット音声データの場合は1バイトおきに規則性があることが見    えるはずだ。(24ビットデータの場合は3バイトおきの規則性)    その規則性が、ノイズ化しているところで乱れているはずなので、その部分を探    す。    探し方は簡単で、先にメモしたノイズ化した場所がファイルのどのあたりである    かを参考にバイナリエディタの右カーソルをその場所の少し前に持って行き、そ    こからスクロールしていけば規則性の乱れたところは容易に発見できるはずだ。         修復は「どうすれば規則性を取り戻せるか」を考えながら、欠損があると思わ    れる場合はダミーデータ(適当な数値1バイトあるいは数バイト)を挿入、同一    の数値が並んでいる場合は欠損とは逆の問題なので削除をし、とにかく規則性を    取り戻す。     修復が完了したらaudacityで読み込んでみる。多くの場合修正箇所(もともと    ノイズ化が始まった場所)で「プツッ」というノイズが発生するが、これはダミ    ーデータがダミーであるため(本来あるべきデータではないという意味)起こる    ので、その部分を拡大しペンシル・ツールやエンベロープ・ツールで修正しよう。     このような伝送系では、このバイト欠損は一箇所であるとは限らないので、修    正した箇所以降で再びノイズ化する場合は、根気よく修復を繰り返そう。 関連: 一般的に.WAVオーディオファイルと呼ばれるものは、xxbit PCM符号有り、ある    いはsigned xxbit PCM と呼ばれる形式で、無音部分は00 00にはならない。この    符号、あるいはsignedとは波形の+/−を先頭の1/0で表すように見えることから    このように呼ばれるためで、無音は便宜上00 00H(16bit)、00 00 00H(24bit)で表    される(最後のHは16進データであることを表す)が、+側最大値は7F FFH(16bit)    または7F FF FFH(24bit)に、−側最小値は80 00H(16bit)または80 00 00H(24bit)    になる。意外とややこしいので、バイナリエディタで加工する場合、2進16進の変    換がさらさらできなければ面倒なことになりかねないので注意する。 関連2: バイナリエディタで.WAVファイルを開いてみると、最初の部分にはオーディ    オデータではないデータが書かれていることがわかる。この部分が「ヘッダー」    と呼ばれる部分で、日付やファイル名、サンプリング周波数やビット数、場合に    よっては使用したレコーダーの型式や製造元も記入されている。閲覧は大いに推    奨するが、ヘッダーのむやみな変更は致命的問題を招くので、どうしても触りた    い場合は資料を入手し、「必ずコピーに」改変を行うように心がけましょう。 ________________________________________    [14]  症状: .aup(プロジェクトファイル)を開こうとしたら、ファイルが壊れているという    メッセージ、または異なるバージョンのaudacityで作成されている、などのメッ    セージが表示され、正常に作業続行できない。 訂正  audacity ver,1.3.11以降で、ファイルメニューから「開く」読み込むと、それ    までのようにエラーにはなりにくく、一応(筆者は、まだ十分に検証していない)    正常に読み込めるようになったようだ。また、上位互換で開くことが出来るので    これまでの1.3.11以下のバージョンで作成したものでも、正常に開くようだ。     しかし、やはり過信することはいかがなものか、と思う。    下記は参考にすべきでしょう。 原因:プロジェクトファイルは大変便利な機能なのだが、同時にとてもデリケートで、    読み込むオーディオファイルのフォルダ位置、サイズ、フォルダ構造などが変化    すると容易に開かなくなる。(バージョンアップとともに改善) 対応:デフラグやコピーでも開かなくなる場合もあるようで、過剰な期待をしないほう    がよいだろう。またこまめに.wavファイル出力しながら作業を行うべき。 対応2:安定な環境を構築し、使用する。    必要ハードの項を参考に、十分なハードディスク領域をプロジェクトファイル    「専用パーテション」に割り当てる。また同時にテンポラリ領域用にも、    入出力ファイル用にも、長尺を扱うなら、それぞれ100GB程度割り当てる。    それぞれ100GBというのは、オペラやライブを想定したものだが、各トラック    48KHz、24bit、10時間程度、20〜30トラックでの必要量である。従ってこれを超    える場合にはさらに大容量が要求される。このような大容量の長尺をシームレス    に扱えるソフトはあまり存在しておらず、とくにHD24との連携では他の選択肢は    無いだろう。長尺になると作業ごとに読み込み直すことは、非常に大きな時間ロ    スにつながるので、必然的にプロジェクトファイルの使用を求められるが、その    ような「信頼性」を求められる作業ではマシンの最適化(不要なソフトのアンイ    ンストール、使用するaudacityのバージョンの単一化、インターネットからの切    り離し)などが必要であるが、これはaudacityに限ったことではなかろう。ソフ    トがフリーで軽量だからといって過酷な取り扱いをすることは偏見だろう。     不要なソフトのアンインストールができれば良いのだが、i-tunesなどはアン    インストールが困難で、少なからず影響を受ける。従って、システム・アーカイ    バーソフトを使用していない場合は、OSの再インストールから行わねばならない    場合も多々あるが、何事も慣れなので恐れずに立ち向かおう。それが面倒なら、    システム・アーカイバーの利用だ。     少なくとも専用ドライブくらいはaudacityのために容易しよう!    それと、テンポラリーエリア「編集」→「設定」→「ディレクトリ」の設定も    忘れずに!! 対応3:より安全なaudacityの設定を行う。    プロジェクトファイルを置くドライブ(パーテション)に十分な容量が確保され    ていなければ、この方法は薦められないが、    「編集」→「設定」→「読み込みと書き出し」→「非圧縮オーディオファイルを    取り込む場合」を・・・「編集の前に非圧縮オーディオファイルをコピーする」    と、「プロジェクト」の    「他のオーディオファイルに依存するプロジェクトを保存するとき」を・・・    「常にすべてのオーディオをプロジェクトにコピー」に    それぞれチェックを入れる。    これらの設定を選ぶと、ファイルを読み込むときにプロジェクトにコピーしなが    ら読み込むために、多少時間がかかるようになるが、安全性は格段に上昇する。    またこれらを有効に機能させるためには、ラフに終了操作をせず、必ず丁寧に    終了しなければ、次に起動したときに、「大修復大会」をすることになるかも。    「安全な使用方法」の項を参照。 _______________________________________ [15] 症状:イコライゼーションを EQCurves.xmlに数値入力したが、イコライゼーションの    カーブを見ると指定した形になっていない。 原因:書式を間違ったか、要求に無理があったかのどちらかが濃厚。    とくに急峻な傾斜を設定するには、極めて隣接する周波数(同じになることは    有り得ない)を記述しなければならないが、近すぎてaudacityに「同じ」と判断    されるとカーブの形が変ってしまう。 対応1:「イコライゼーション」の項の「数値入力の方法」をよく読み、対応する。 対応2:書式が正しく、要求も正しかったとしても、扱うサンプリング周波数の1/2    (=ナイキスト周波数)以上や、その近辺の設定は無効となる。    このようなケースでどうしてもその帯域で処理を行いたい場合は、プロジェクト    のサンプリング周波数(画面左下)の設定を高く設定することで、処理すること    自体は可能となる。(ただし、その意味があるかどうかは別として) _______________________________________    [16] 症状:録音作業中、あるいは再生中に、マウスなどのポインティングデバイスをぐるぐる    動かすと「プチ」や「シャリッ」などのノイズが混入する。 原因:そんなものです。 対応1:audacityでは、マウスなどのポインティングデバイスの空操作では、ノイズの    原因になりにくい対策が取れれているそうだが、対策は対策であり、完全を保障し    ているわけではない。また他の多くのソフトでその傾向がある。     ではどうしろと・・・キーボードによるショートカットを覚えましょう。あるいは    その一覧をつくり、あるいはキーボードに油性インクやシールを貼れば良いでは    ないか?それに抵抗があるというなら、audacityもその程度にしか働いてくれな    いことでしょう。マッキントッシュ上で動作する、某ターミナルなど、専用キー    ボードまであるではないか。audacity用に書き込みした専用キーボードを作って    はどうだろう。作る間に結構覚えられます!!日本ではキーボードはとても安価    です。 対応2:筆者が推奨するように、録音には専用機(レコーダー)を用いる。専用機はその    ためだけに生まれた装置で、滅多なことでは滅多な状態にならないよう厳しく育    てられています(そうでない機種もあるが)。それに対してPCは事務作業用に照準    を合わせたハードと基本ソフト(OS)でできています。どれだけ高速になろうと    血筋までは変えられません。餅は餅屋です。(誰かがOSから組み立て直せばもっと    ましにはなるだろう) 対応3:使用していない他のソフトや、関係の無い常駐プログラムを停止する。    しないよりはましな筈です。    タスク・マネージャーを起動するなどもってのほかです。    停止するか迷うソフト:     CPU稼働率計     S.M.A.R.T計(ハードディスク監視ソフト)    ******録音する場合には停止すべきでしょう・・・。  参考)audacityよりも録音性能が高い(筆者評価)WaveSpectra.exeでも、ポインティ    ングデバイスの空操作や画面サイズの変更はノイズ(サンプル落ち)の原因に    なります。やめましょう。     _______________________________________ [17] 症状:イコライゼーションを用いて、帯域分割したら、不可逆分割になってしまった。    (うまくいかなかった・・・分割したものを混ぜたら元通りにならなかった) 原因:イコライザーカーブの指定の仕方(要求)が不適切。 対応:カットオフ周波数が明示できていないことが原因なので、「新イコライゼーション    」の項の後半を熟読し、正しい書式を学ぶと良いでしょう。    よくxxdB/octの傾斜と言うが、この傾斜は階段状の要求によって「自然に発生」    するもので、それを「描くもの」ではない。 _______________________________________ [18] 症状:イコライゼーションにプリセットされたフォノ・イコライザー・カーブでレコード    再生したが、実機のフォノ・イコライザーと音が違う。 原因:audacity ver,1.3.xに搭載のイコライゼーションは位相回転の生じない特殊な    イコライザーです。実機に搭載されているイコライザーは例外なく位相回転が生    じるフィルターでできており、この位相回転の有無が音色の違いとなって現れる。 対応:audacityのイコライゼーションに位相のレイヤーが追加されるのを待ちましょう。 _______________________________________ [19] 症状:audacityを様々に設定しカスタマイズしたが、初心に帰り新たな門出を祝いた    いと思い、アンインストールし新しいバージョンを用意したが、設定はそのまま    だし、「ようこそ」画面も出ない。 原因:設定はC:\Program Filesのaudacityのフォルダや、ZIPを展開したフォルダの中    にはありません。 対応: C:\Document and Settings\ユーザー名¥Application Data\Audacityの中の    audacity.cfg がそれなのですが、このファイルの名称を変更するか、抹消する    と、すべてが初期状態に戻ります。またこのファイルは新たに自動作成されま    す。    また、ver,1.3.x系はすべて同じ上記ファイルの設定を共用するので、新たな    バージョンのaudacityを起動しても、設定は引き継がれるのです。 対応2:門出を祝い、ポータブル化してみましょう。実行ファイルであるaudacity.exe    があるフォルダに、「portable settings」という名称のフォルダを作成すると    コンフィギュレーションなどのファイルは、以後そこへ自動的に作成されます。    portable settingsフォルダが有効なのは、ver,1.3.3以降で、それ以前のバー    ジョンでは無効。 _______________________________________ [20] 症状:左右に振りきりの設定をしても逆のチャンネルからの出力や、あるはずのない位    相差が生じ、妙な挙動の出力音になるが、Audacityのレベルメータなどは正常な    振れ方になるが、外部プログラムとしてFFTやリサージュなどを使用したり、モ    ニター出力のみ不条理な挙動になる。 原因:パソコンのサウンドデバイス(正確にはそのドライバソフト)によっては、音場    補正機能や、音場拡張機能が付いている場合がある。この設定が有効になってい    ると上記の症状が見られることが多い。また設定が無効になっていても、アプリ    ケーションによっては、直接レジストリを操作するものがあるらしく、設定画面    では無効なのに、実際には動作していることがある。 対応:後付のドライバの場合は、その設定画面が「コントロールパネル」、デフォルト    のドライバの場合は、「コントロールパネル」→「サウンドとオーディオデバイ    ス」のプロパティ→「音量」→「スピーカーの設定」→「詳細設定」を    デスクトップステレオスピーカーに、    「デバイスの音量」→「詳細設定」でボリュームコントロール・パネルが出現す    るが、さらに左上の「オプション」→「プロパティ」→「再生」で、コントロー    ルのリストが表示される。     もしもその中にマイクやラインやシンセサイザなど以外に「ステレオワイド」    などの音場系の項目があったら、一旦チェックを入れてパネルに表示できるよう    に設定し、次にパネルからステレオワイドを有効にし、スライダーを下方向に    完全に下げきる。その後はそのスライダーの表示はそのままに、開いた窓を閉じ    て終了。     このパラメータのスライダーは機種固有なので、付いているものとそうでない    ものがあるようだ。「オヤ!?」と思ったら、すぐに確認をすべき問題です。    マシンパワーに余裕があるなら、WaveSpectraなどは、ほとんど常駐状態で使用し    リサージュくらいは常に見られるようにしておくことを推奨します。    常駐WaveSpectra設定は、画面サイズ可能な限り最小、「表示間隔」をタイマー    /50ms〜100msにしておけば、マシンパワーをあまり消費しなくなります。    また、WaveSpectraのfps表示が、上記の数値50msの場合は20に、100msの場合は    10になるはずですが、CPU利用率が上昇しWaveSpectraへパワーの割当が低下して    くるとこの数値も下がるため、CPU利用率計的な利用もできなくはない。 _______________________________________ [21] 症状:ver,1.3.10〜1.3.12でAIFF形式の長尺ファイルの読み込みが正常に終了せず、    途中で停止してしまう。(筆者は再現できていないが、複数の報告がある) 原因:不明 対応:一旦ver,1.2.6で読み込み、WAV形式に変換し、ファイル出力。上位バージョンで    作業を行う。    無論ver,1.2.6で何ら支障の無い処理であるなら、そのまま作業続行すればよいが    正規化、増幅、イコライゼーションなどどれをとってみても、上位バージョン    では大幅にパフォーマンスが向上しているので、そちらの使用を強く推奨する。     とくに長尺のイコライゼーション処理では、ver,1.3.10未満ではランタイムエ    ラーで強制終了することが多いため、推奨できない。 対応2:やや綱渡りな方法なので、動作の保障はできないが、    ver,1.3.7 以前のver,1.3.x系で読み込み、→    ver,1.3.12など高位バージョンを起動し、→    ver,1.3.7 で読み込んだ全ファイルをCtrl+Aなどで全選択し、Ctrl+Cでコピー、→    ver,1.3.12上でCtrl+Vなどで貼り付けすると、極めて短時間で制御を渡すことが    できる。  <注>ver,1.2.x系とver,1.3.x系は同時には起動できない。また調子に乗っていく    つものバージョンを同時起動しデータの受け渡しを繰り返すと、クラッシュする    ことがよくあるので、注意。  <注>この長尺AIFFファイルがver,1.3.7以前で正常に開くことの検証は、筆者は行    えていません。 _______________________________________ [22] 症状:USBオーディオインターフェースなどを経由し、SPDIF接続でCDライターなどへ    信号を送り、CD-rなどに書き込もうとすると、音が途切れたり高品位の音になら    ない。(このプロフェッショナルマニュアルではこの方法を推奨しているのに)    CDライターがリサンプルモードであっても同様。これでは普通にCDライティング    ソフトで焼きこんだ方がマシなのでは・・。 原因:audacityからの再生出力の時間軸安定性が、SPDIF規格のジッタ限度を超えている    ことが考えられる。この問題は、他のDAWでも同様に見られる・・。 対応:一旦ファイル出力し、時間軸安定度の高いソフト(筆者の確認範囲ではefu氏作の    WaveSpectra.exeが最も優秀)を用いて再生し、SPDIFでCDライターへ送り、CDラ    イターのダイレクトモード(リサンプル無し、レベル調整不可のモード)で書き    込む。ただし、書き込み中にマウスを動かしまくらないこと。またWaveSpectra    の設定はできるだけ軽負荷(とくに更新頻度を下げる・・50ms程度)にすること    を推奨)になるよう配慮する。 対応2:デフラグメンテーションマシン(このテキストではAlesis社HD24を推奨)に    ファイル転送し、その出力をSPDIFに変換し、CDライターへ送ると最高の品位が    得られる。しかしHD24で44.1KHzfsの場合は、かならず外部から正確なワードクロ    ックを注入する必要がある。(ほとんどのHD24の44.1KHzfsインターナルクロック    はクロック精度が±100PPMに収まらないため)    また、改造マニアの方はZOOM社R-16にSPDIF出力を装備すると、この目的に合致し    たマシンになります。 _______________________________________ [23] 症状:ステレオトラックをタイムシフトツールでタイムシフトしたら、片方のトラック    だけがタイムシフトしてしまった。(ステレオ・リンクが一時的に外れる)    タイムシフトツールで、トラック間ドラッグによるデータジャンプを行うと、    片方のトラックしか移動しない。(ステレオリンクが一時的に外れる)    また、ステレオトラックをモノ2つに分離した場合にも、タイムシフトでリンクが    外れずに連動シフトする場合もある。 原因:おそらくver,1.3.10、11、12のバグ(エディター部分の仕様変更があるのだろう    か・・・不明) 対応:気付いたらすぐにUNDOを実施。    タイムシフトツールで、一つのトラックに複数のパーツを飛び飛びに配置したり、    タイムシフトツールでトラック間のデータジャンプするときに起きる。    とくに画面枠上下からはみ出たトラック(LRのどちらか)が置き去りになるよう    で、両方のトラックが表示されているときにはこの問題は発生しない。 対応2:ver,1.3.9以前ではこの問題は見られないので、そちらを使用することも一つ    の選択肢だが、別の問題が・・。 _______________________________________ [24] 症状:CPU稼働率計を装備し稼働率をモニターしてみたら、何もしていないときにも常に    100%近い使用率になっている。またaudacityの各処理も異様に遅い。    不可視属性のファイルを可視表示に設定しているのに、表示されない・・。 原因:おそらく、間違いなく「USB拡散ウィルス」に感染している。    このウィルスは、一度もネット接続したことのないPCであっても、USBメモリー    や、各種のメモリーカードを媒体とし、感染する。 検査方法:どのパーテション、USBメモリーでも構わないので、そのルート階層に    「autorun.inf」というファイルをメモ帳などで作成してみる。何事も起こらず、    そのファイルがそこにあれば(エクスプローラで見えていれば)、このウィルス    には感染していないが、みるみるうちに、そのファイルが消滅したら、確実に    感染している。他人に迷惑かけないうちに、退治すべき。放置しておくと、PCが    クラッシュします。 対応:「対ウィルスソフト」を常駐していても、多くの場合すり抜けて感染し、しかも    退治できない。    revoウィルス、USB拡散ウィルスなどのキーワードでネット検索し、対応しよう。    退治の前に早急にしておくことがあります。    全てのパーテション、全てのドライブ、全てのUSBメモリー、全てのフラッシュ    メモリーのルートに、「autorun.inf」という名称の空フォルダ(中に説明文など    何かファイルがある方がよい)を作成し配置する。ひとつでも見落としがあると    効果は無い。お札のようなものだが、この名称のファイルを伴い、ウィルスは感    染していくので、この名称のフォルダが先にあると、そこで感染が停止する。     しかし感染はそのままなので、早急に退治すべき。    現在utsunomia.comでは、このウィルスに対応する処方ファイルを公開している。 ________________________________________ [25] 症状:audacityのエフェクトなどの処理が、最初は軽快に行われていたのに、「ある日」    から異様に遅くなった。(「時間軸のスライド/ピッチの変更」などの処理は他の    処理に比較し、非常に処理が重く、処理する部分の実時間の数倍の処理時間が必    要です。またその場合も、処理時間はマシンパワーに依存します。ここでの想定    は「イコライゼーション」や「増幅」などを指す) 原因:[1]と同様に、コンフィギュレーションファイルに不正なパラメータが入っている。    不正なパラメータが入る原因は、多くの場合不正終了のようだが、それ以外の場    合もあるかもしれない。とくに複数起動している場合は不正終了しないように気    をつける必要がある。 症状の特徴:処理の進捗状況を示すプログレスバーが表示されるまでに、妙な「間」が    あることが多いようだ。 対応:[1]と同様にコンフィギュレーション・ファイルを開き、不正部分がどこなのかを    見つけ、修正して上書きする([1]を参照)。    あるいはコンフィギュレーション・ファイルそのものを消去(ファイル名を変更    でもよい)し、audacityの設定をやりなおす。    コンフィギュレーション・ファイルのありかは[1]を参照。 ________________________________________ [26] 症状:.WAVファイルなのにVocalShifterやWaveSpectraで読み込めない。 原因:WAVファイルのファイルヘッダー形式様々で、いくつかのフラッシュメモリーを    記録媒体とした録音機やプロツールズで出力したWAVでは、BWF(放送規格準拠)    形式であったり、固有の拡張があったりします。往々にしてヘッダーが大型で、    VocalShifterやWaveSpectraなどのソフトでは読み込むことができません。 対応:Audacityで一旦読み込み→書き出すだけで、ヘッダーは軽くなり、これらのソフ    トで読み込めるようになります。(VocalShifterの場合は16bitファイルで出力)    Audacityの場合も「メタデータ」(編集→設定→取り込み/書き出しで設定)を    大きくするとヘッダーは大型化するので注意。    また、Audacityで単純に読み込み→書き出しを行う場合、損失(変化)が許され    ない場合は、読み込むファイルのビット深度を調べ、編集→設定→品質 の    ビット深度を読み込みファイルのそれに合わせ、書き出しも同深度にすると、    同一のチャンクが出力されます。 対応2:Audacityでも読み込めない場合。    WAVの拡張子がついていても、WAVでない場合("data"文字列が無いなど)があり    ます。なぜそのようなことになるのか、あるいは故意にされたものなのか不明で    すが、このような場合、それが確かに非圧縮オーディオデータであるなら、    「ファイルの破損と修復.txt」を参照し、壊れたファイルとしてRAW読み込みモー    ドで読み込みます。