その他の併用すると有用なソフトウェア  最終改訂:2011_11_21                         (C)Y.Utsunomia 2008-2010  ここで紹介するソフトウェアの多くはフリーウェアであり、いくつかの制限はあるも のの使用者はその利用に関して自由である。またこのテキストそのものもプログラムで はないが、やはりフリーウェアの一種である。  無論、このテキストのような単なる情報であろうと有用なプログラムであろうと、作 者による作成努力と知識(けっして無償で入手したものではない!)によって支えられ るものであり、それらの作者によって思惑は異なるものの、おおよそ何らかの善意によ って成立(ときに悪意によるウィルスなどもあったりするが)している。  多くの作者がサポートやバグの修正を義務としていないが、それは建前であり大抵は 要請を待ち望んでいる。ただ現実的に実行の義務を負わないだけだ。  もしもそれらの利用によって利益を得たり感銘を受けたなら、報告やシェアーなどの レスポンスを返すべきであろう。これは義務ではなく、未来への希望であることを忘れ てはならない。  ここに登場するソフトは、ソフトの名称や作者名の検索でありかが見つかると思うが、 VECTORのサイトに登録されているものが多い。しかし、最新版が常にVECTORにあるわけ ではなく、VECTORの該当ページから作者のホームページにジャンプできることが多いの で、そちらも参照すべき。ウィルス付きメールの送付先に利用される可能性があるため 作者のアドレスは掲載しない。  WaveGene.exe ver,140 efu 氏作  (ソフト・ファンクション・ジェネレーター)  テープで言うところの単純な可変速操作・・・<録音と再生を異なるテープ速度で行  ったり効果処理を異なるテープ速度で行う操作>・・のためにも利用可。  ver,140から関数波形に加え、なんと任意の.wavファイルを出力できる「ユーザー波  形」の機能が追加されたからだ。先に全読み込みを行うので長尺のものは無理がある  が、繰り返しの1サイクル分を読み込ませることで、そのサイクルを関数として隙間  0のループ再生を行うことができる。   本来このソフトは高精度多機能のシグナルジェネレーターで、その本来の用途も重  要。  この単純可変速操作は、.wavファイルのヘッダーを書き換えるソフトや知識があれば  可能であるが、WaveGene.exeを使用するとドラッグ&ドロップと数値入力のみで可能。  ASIO、ファイル出力に対応。  WaveSpectra ver,1.40/1.50 efu 氏作  (FFT+マルチ録音+マルチ再生+ファイル解析)  作業を検証しながら進めることは重要で、扱う音の帯域や成分を分析するのに、無比  の性能を発揮。1.50が最新版で、1.40から全面見直しが行われ、画面はほとんど前バ  ージョンと変わりないが、内容的には作り直しとなったようである。   前バージョンに見られたいくつかのバグは取り除かれ、現在の拡張された.wavファ  イルであるBWFにも完全対応。タグやマーク類も表示や解析、一部は利用できるよう  になった。また、Audacityで作成できるマルチチャンネルWAVファイルにも、8チャン  ネルまで対応。   フラッシュメモリー録音機で録音された、同期した2つのステレオファイルを、  同時起動した2つのWaveSpectraで、それぞれ異なるデバイスへ同期出力可能(つまり  簡易にディスクリート4チャンネル再生が可能)となった。この2重起動したWaveSpec  traは同期再生動作できるだけでなく、従来の一時停止状態での詳細位置指定モード  でもスロー同期可能であるばかりでなく、そのときにFFT窓部分の音再生ができるよう  になったため、楽音解析では他に類を見ないソフトとなった。   1.50での大幅改良により、旧来の精度を保ったまま、音楽的な感触が加わった。  *同期機能を有効にするには、設定→その他、の画面左下の同期についてのチェックを   入れて、なおかつ位置指定画面が出ている(WaveSpectra 1について)必要がある。   また、同期機能は正式にはマルチコアCPUのための機能なので、シングルコアでは   十分なパフォーマンスが発揮できない可能性があります。   このWaveシリーズは10年以上も改良や機能追加が行われ続けており、FFTとしての  性能は単に速く高精度なだけではなく、もはやそのつくりは哲学の領域に到達してい  る。1.40以降では読みやすいヘルプファイルが附属し、学習用としても最適。使い方  を間違わなければ高価な有償ソフトを凌ぐ高性能ぶりで、まさにフリーウェア界の  「King of FFT」の名にふさわしい定番ソフト。警視庁科学捜査研究所でも研究や捜査  に使用されているらしい。  また録音/再生ソフトとしても秀逸で、独自のアルゴリズムによりサンプル落ちが極  限的に発生しにくく、安全性も高い。ASIO、WASAPIにも対応。多チャンネルの録音再生  にも対応し(1.50)、しかも録音音品位や安全性ではaudacityのそれを凌ぐ。  *Audacityは内部バスがステレオ2チャンネルであるため、多チャンネル再生は不可能  であるが、WaveSpectraを併用(WAVファイルで受け渡し)することで、多チャンネルの  再生環境が得られる。    面白いことにWaveGene、WaveSpectraともに.Wav再生機能を持つが、どちらも測定  器としての基本精度をもち、作者も同じ姉妹ソフトでありながら、その音がかなり違  うという現象がある。どうやらディザなどの処理が異なるのだそうだが、大変興味深  い。オーディオ的にはWaveSpectraに分がある。  *ver,1.40まではリアルタイムモードで、表示が徐々に遅れるという問題があったが、   ver,1.50から遅れが累積することはなくなりました(内部アルゴリズム変更)。  あまりに極端なフォーマットのデータファイル(Fs=100Hz、24bitなど)を読み込ま  せようとすると、強制的にシャットダウンすることがあるが、無理を繰り返し行うと  WaveSpectra.exe自身が作る.iniファイルが傷つくことがあるが、そのような場合は  「トラブルシューティング」の項の「非インストール型のソフトのもてなし」を参照  対処する。  DNA氏という作者のソフトウェアにLevel of Line Inという表示ソフトがあるが、こ  のソフトでは表示と録音処理を別プログラムにし、表示などが追いつかなくなったり  バッファーアンダーラン状態では「処理をスキップ」というスイッチが装備されてい  る。このソフトでは遅れは発生しない。こちらも推奨。  WaveCompare ver,132 efu氏作  (WAVファイル専用の比較器)  同じくefu氏の作品で、二つの.wavファイルの同一性をバイナリーレベルで評価する  ためのソフトウェアである。差分抽出のテキストで示された頭合わせの作業を自動的  に行う。  出力がテキスト形式なので、視覚的表現としてはaudacityによる差分抽出の方が説得  性があるが、作業のほとんどが自動化されているため、手軽で扱いやすい。  オリジナルと同一のコピーを作成できることは、技能として基本中の基本である。そ  の評価を行うのに有用である。光学メディアへの書き込みなどでは必携。  さらに、現実にはバイナリーレベルで同一であることが証明できても、同一の音にな  らないという困った問題があるが、(これについては異論もあるが・・)それ以前に  バイナリーレベルが一致しなければ同じ音になりようがない。  サンプラー座 江古田 ver,1.5 PAQ氏作  (サンプリング・ノート再生機)  芝居のための効果音送出用のサンプラーだそうだが、タブレットPCなどとの組み合わ  せでは、非常に強力な汎用サンプラーとして使用できる。操作に対するレスポンスも  なかなかのもので、しかも、一部のサンプル(登録したスイッチに依存)にはスピー  ドベンドも可能。  またスピードベンドはほとんど停止に至るほど広範囲に機能し、使用するための練習  に応える安定性がある。   audacityはオフライン処理で、「演奏」を入れにくい面があるが、このソフトはま  ったく逆で、演奏のためにある。CPUクロック400MHz程度のロースペックマシンでも  十分に機能するが、サンプル音をメモリーに読み込みたいソフト(メモリーが不足す  る場合はハードディスク・ページングエリアを使用)なので、長尺(数分以上)のサ  ンプルを扱う場合は、それに見合ったメモリーを搭載したいところである。(メモリ  ーが少ない場合、起動に時間がかかる)  Rate_Brain (r8brain.exe) ver,1.9 Aleksey Vaneev氏作 オフラインレート変換  http://www.voxengo.com/r8brain/ で入手可能。  非常に高性能なサンプリングレート・コンバーター。任意のサンプリング周波数を  任意のそれに変換でき、品位も設定可能。またバッチ処理にも対応している。  最高品位を指定するとすばらしい特性が得られるが、処理も相当に重く、それなりの  変換時間を要する。とくに本書の主題である、電子音楽への応用では、正弦波をその  まま扱うことも多く、ゆえに「折り返しノイズ」や「エネルギー拡散」、「混変調」  などの品位はそのまま作品の質に反映してしまう。  最も高品位のレート変換が可能なソフトのひとつではあるが、マスタリングなどの  用途では必ずしも最高成績になるわけではない。多くの場合、高いサンプリング周波  数から低いサンプリング周波数へ変換を行うが、帯域が下がることにより音の圧迫感  が増すが、マスタリングなどの用途では、ある程度の歪み(折り返しノイズも)により  圧迫感が減少する心理的傾向があり、そのため特性が優秀であればあるほど、この圧  迫感などの帯域変化による劣化が強く影響を及ぼしてしまう。しかし、このひずみの  受け入れは、料理がしょっぱいから砂糖でごまかすようなニュアンスであり、本質的な  解決にはならない。(が、現状ではやむなし)  また測定用途や電子音楽のように正弦波をそのまま使用する純粋分野では、ひずみは  ひずみであり、圧迫感や帯域感などはあまり問題としない。このような目的のためには  優秀なレート・コンバータが必要なのである。  説明書などもすべて英語であるが、パネルを見れば使い方はすぐに理解できるであろう。  理解できない場合は、理解できる日が来るまで大切にしまっておこう。  任意のサンプリング周波数に対応するが、やはり「2のn乗則」がある。  fftwsg.exe release 59 mi氏作 スペクトログラム  作業検証のために大変有用なフリーウェアで、fft/dftベースのスペクトログラム解  析機である。概要で解説したようにコンピュータベースの録音編集セットは音が悪く、  ヒアリングそのものがあまり役立たない傾向がある。いわゆるDAWをはじめとして、  ヒアリングを中心とした本来の仕事形態ではなく、表示された波形などの視覚情報を  重視した視覚型作業に移行せざるを得ない。  ならば、徹底的に視覚化を推進し、積年の望みであった定量的作業を推進したいもの  である。audacityにも簡単なスペクトログラム表示があるが、必要十分な精度と表示  とは言えない。   fftwsg.exe 59は気難しく専門的過ぎる一面もあるが、非常に強力な視覚化が簡単  な操作で実現できる。いわゆる声紋分析にそのまま使用可能である。  (注 24bitデータは開けないので、16bitデータに変換する)   WaveTone.exe ver,2.4 あっきー氏作 (スペクトログラム・聴き取り支援)  ウェーブレット/dfTベースの音程(メロディー・ハーモニー)抽出→表示(ピッチグ  ラム)→MIDI出力ソフト。もともと「耳コピー」支援ソフト。   本来の目的を達成するべく、目覚しい進化を遂げていて、センター定位成分の除去、  センター定位成分の抽出機能も搭載。機能的には後述のVocalReducerに類似であるが、  WaveToneに搭載のものは、聴き取りのための最適化が行われている。フレーズを研究  したり聴き取り分析を行うには、WaveToneに分があるが、カラオケ作成にはVRが好適。    pmonitor.exe ver,1.12 あっきー氏作 (リアルタイム音程表示)  上記Wavetone.exe と同じ作者。VocalShifter同様のコアプログラムを使用。  このソフトはピッチモニター(チューニングメーターのような)という目的で作られた、  全帯域から優勢な基本波を抽出表示するリアルタイム動作のプログラム。  ver,1.1b1〜からVocalShifterで培われた解析技術の適用で、高精度に純正律で表示可能  になった。精度1セント以内(有効桁数4.5桁以上)を有し、帯域C1〜B8(32.7Hz〜7.9KHz)  で、FFTの友としても有用。Pmonitorはウェーブレット変換ベース。  比較的ローパワーなマシンでも動作は良好なので、使用しなくなった旧PCを専用機として  楽器練習の友とするのも良し。   非常に実用的な動作で優秀。リアルタイム動作専用。  vshifter.exe ver,1.3 あっきー氏作 (音程修正)  VocalShifterという名称が付けられており、オートチューンのようなホルマント  保存型の音程補正ソフト。現在のところ開発中だが、ピッチ解析とともに強力な音程  補正処理が可能であるばかりか、音程のみを他の演奏から移植することが可能。  またダイナミクスの修正や移植にも対応している。(16bitデータに対応)  現在のバージョンは純正律にも対応している。  *ただし完全に使いこなすには、音階論について学習の必要がある・・逆に言えば   その知識を十分に生かせる、現在唯一のソフト。  vocorderの項の後半で詳細解説。  (現在はVshifter単独の解説を公開中)  単に音程の修正のみならず、解析表示能力が優れているので、学問的研究のツール  として、また自分の演奏を写す鏡として、バーチャルな師匠として使用できる。  VocalReducer.exe ver,1.21 Hiroyuki(長門雪尋)氏作 (センター定位成分  抽出・除去)  単純な位相マトリクスならaudacityで十分に対応できるが、帯域ごとのセンター定位  の比較・抽出はこのソフトのようなアルゴリズムでなければ困難である。  上記VocalShifterを用いて、ミックス済みのソースから歌の音程を抽出するには、  センター定位成分の分離を行い、それを解析する以外の方法では、抽出率向上は  望めない。(フィルターなどで歌の帯域を切り出しても、あまり向上はしない)  このような要求に、このソフトは一定の成果をあげることができる。  またミックス手法のヒアリングによる解析でも、大きな支援となる。  単純にカラオケ製造ソフトとしても秀逸。なぜなら、元ソース同様にステレオを保  ったステレオカラオケが、簡単な操作で作成できるばかりか、歌の切り出しも一定  水準以上の品位で可能で、さらに歌とカラオケを「相補」に分離することも可能。  相補に分離したものを、ミックスすることがバランス訓練に使えるのではないか、  と思えるほど。 wtctrl.exe ver,112 yakki氏作  (尺合わせ、ズレ補正)  audacityは強力なリサンプルと任意サンプリング周波数という仕組みによって各種の  処理を行っているが、尺あわせ(ピッチを変化させずに長さだけを変化させ、目的の  時間にすること)を行おうとすると、どうしてもリサンプルを行わなければならない。  ところがリサンプルは必ず相応の損失があり、対象となる音によってはリサンプルを  避けねばならないこともある。wtctrl.exeはリサンプルではなく、一定間隔でサンプ  ルを間引き、あるいはダミーの挿入という単純な手法で尺合わせを行うソフトである。  情報の変質あるいは損失という点は変わらないが、漫然と全体に及ぶ損失か、周期的  に訪れるジッタのような形の損失か、修正する量が少ない場合は後者にメリットがあ  ることも多い。  SGWatch.exe ver,1.01 Still Green氏作  (高機能ストップウォッチ)  筆者愛用の高性能・高機能ストップウォッチ・ソフトである。通常のストップウォッ  チソフトはソフト・カウンタ関数でできており、精度はともかく、単に表示や出力に  工夫をしただけのものが多い。このストップウォッチは表示や出力の工夫や、入力ハ  ードの拡張性に独自の工夫があるばかりか、コアである時間情報のカウントそのもの  に、各PCが内蔵しているカレンダー/時計チップの出力情報を取得することで計時し  ている。そのため計測中にPCがスタンバイになろうと休止モードに入ろうと精度を保  ったまま動作を持続することができる。また、測定誤差そのものも、そのPCのカレン  ダー/時計と同一になることから、容易に把握できる。   入力ハードの拡張性とは、計測開始、ラップ、などのボタンのカスタマイズができ、  なおかつマウスの左右、ホイールのボタンに割り当てることができるため、容易に入  力ボタンを引き出すことが可能で、遠隔操作や、自動計測にも使用できる。出力ファ  イル形式は.csvであるが、この拡張子を.txtに変更するだけでメモ帳で扱うことがで  きる。また、簡単な操作でaudacityのラベル情報として読み込むことができる。録音  や編集のためのストップウォッチの決定版といえよう。 追記)カレンダー/時計チップ:すべてのPCに内蔵される、計時専用の独立動作ハード  ウェア。PCの通常処理系とは異なり、どのような状況であろうと、あらゆる場合に  タイムアップに専念している。ソフトウェアがそのアップに関与するのは、唯一時間  の修正時のみ。従って誤差を確定しやすく(一年で何秒狂ったかなどを手がかりに)  安定している。しかし多くのチップではその出力が1秒単位のことが多いため、ソフ  トカウントルーチンを位相同期させる必要があり、少々面倒な問題も・・。また、  最初の1秒以内は計時精度が出にくい。  もしこのチップが異常な動作(リセットされるなど)をした場合、「PC起動時に時間  を入力してください」というメッセージや、起動できない(BIOSでひっかかる)など  の症状があらわれるので、動作管理も容易。リチウム電池の場合は早速交換しよう。  SGSerch.exe  ver,1.11 Still Green氏作 (ファイル・文字列検索)  テキスト検索、ファイル検索などを能率よく行う検索ソフト。  audacityに限らず、扱うファイルが増加してくると、それに関連するファイルが増大  し、行方不明などの問題が増えてくる。とくにaudacityはfile to file のソフトで  あるため扱うファイルは通常のDAWよりも多く、またより大容量のハードディスクを  扱うことから、このような検索ソフトの必要性が出てくる。またこのソフトは複数の  ファイルの中から指定文字列を検索することができることから、audacityが使用する  各種の設定ファイル(使い込むうちに複数のコンフィギュレーションをするようにな  る)のどこに目的の文字列があるか検索する必要があるが、これらの問題をこのソフ  トは解決してくれる。不可視属性のファイルであっても検索→移動、あるいは加工が  可能なので、対PCウィルス戦ではいつも大活躍。  SGLauncher.exe ver,2.02 Still Green氏作  (高機能ランチャー)  Still Green氏とは同郷のせいなのか、なぜか考え方やアイディアが一致する部分が  多く、愛用させていただいているソフトが多い。PCの一般的な使用スタイルとしては、  デスクトップに使用ソフトなどのショートカットを置き、そこから起動する方が多い  と思う。ところが、このスタイルは一見便利なようで、作業スペースであるデスクト  ップで何か作業を行っていると、その画面が邪魔になり、デスクトップ上のショート  カットは意外と使いにくいことが多い。そこで、ランチャーと呼ばれるソフトの中に  ショートカットや起動ファイルを仕込んでおき、起動する場合はランチャーを開きそ  こから目的のソフトやファイルを開くということを考える。もちろんランチャーその  ものの起動スイッチはクイックスタートやタスクバーに仕込んでおく。   このSGLauncher.exeは、ランチャーに登録されたファイルは画面の淵1ドットにず  らりと並べるスタイルで、そこをクリックすることで起動やファイルオープンを行う  ことができるというランチャーである。このメリットはいかなる混雑状態のデスクト  ップであっても、画面の淵1ドットは使用可能であり、デスクトップの混雑とは無関  係に操作できることである(タッチパネルでは少々不便なのだが)。   PCのシステム保護のために、システム・アーカイバーを使用しているユーザーは多  いと思うが有力なシステムアーカイバー(ノートン・ゴーストやアクロニス・トゥル  ー・イメージ)ではC:を丸ごとアーカイブ保存/書き戻しを行うことが多く(そのよ  うな設定でなければシステム保護はできない)、当然使用中のデスクトップの状態も  すべて初期化(アーカイブ保存時の状態に)されてしまう。そのため現状を保ったま  ま書き戻し復旧を行おうとすると、デスクトップから手が届くところにボタンがあり  ながら、その情報そのものは異なるパーテションに置いておくという工夫が必要にな  るが、いくつかのランチャーはこの目的に合致する。もちろん使用者の好みの問題は  あるが、SGLauncher.exeに登録できるものは、ショートカットの必要はなく、実行フ  ァイルそのものや、よく使うフォルダそのものをドラッグ/ドロップで即座に登録で  き、まるで拡張されたデスクトップのように扱える。また画面淵は4辺あるので、分  類もしやすい。もちろんSGLauncher.exeはそのような場合C:以外に置かねばならない。   このランチャーに実行ファイルを登録(ドロップするだけ)し、そこから起動す  るとソフトによっては、SGLauncher.exeの所在するフォルダに「お土産」を残すもの  があるので、たまにはそのフォルダの中にあるファイルを掃除する必要がある。    TinyMon.exe ver,1.11 TOA氏作  CPU稼働率(利用率)を表示するためのソフトであるが、様々なカスタマイズが可能  で、このソフト自体が負荷になるようなこともない。Windowsに備わっているタスク  マネージャのパフォーマンス表示グラフのようなものであるが、この表示グラフは大  きく、負荷も大きく融通が利かないが、TinyMonitorの場合は、画面を最小で画面右  下の通知領域の1区画大にしておくこともできる。   audacityの各種処理では、しばしばプログレスバーが表示されず、異常な動作をし  ているのか正常な処理を続行しているのか、不安になることがある。   本文ではこのような場合、ハードディスクのアクセスランプを見ることを推奨して  いるが、CPU利用率を見ることで、より動作状態を正確に把握できる。たったそれだ  けのことなのだが、ソフトへの「信頼と絆」が深まるのは不思議である。  MemCleaner.exe ver,2.01 天野晃治氏作  メモリークリーナーと題された、メモリー・デフラグツールの一。デフラグに用いなく  ても自分のPC上で、ソフトが動作している際にどれくらいのメモリーが使用されてい  るか把握することは重要で、慢性的に不足状態であるなら、増やさなければならないし  あるいはその必要が無いのか、判断の材料として、メモリーの使用率を表示する機能を  持ったソフトである。システムや表示画面への負担が少なく、効用は大きい。   常駐させることもできるが、必要なときに必要なだけ使用するにも有用。  特にaudacityの最近のバージョンでは、キャッシュの設定が大容量メモリーにも対応で  きるようになったが、その設定値を決めるためにもこのようなソフトは必要だ。(なぜ  なら大きすぎるキャッシュ値の設定は無効で、設定が無い扱いになるので、このような  監視ソフトを用いて最適化を図る)  秀丸 (有)サイトー企画  (シェアーウェア・・・有償)  日本語テキスト・エディター。  audacityを使いこなすためには、操作パネル(Graphical User Interface=GUI)から  操作できることには限りがあり、audacityが作成使用するファイルを直接開いて閲覧  や編集、入力を行い書き戻す必要がある。その代表的なターゲットのひとつは、内蔵  されたイコライゼーションでGUIからはグラフィカルな操作でおおざっぱな設定しか  できない。入力パネルとしてはX=周波数 Y=レベルの平面にポイントを打ち、そこか  ら最適化されたフィルターを自動作成するのであるが、最大で+60dBから最小-120dB  にも及ぶ広大な範囲を縦横無尽に設定するには、いささかXY平面が狭く、また再現性  も弱い。この設定についての数値入力は  C:\Document and Settings\\Application Data\Audacity\EQcurves.xml にテキスト記述されている。   とてもわかりやすい記述なので、開いてみれば誰にでも書式はわかるであろうが、  このようなファイルを開き、改ざんするには(Windows備え付けのメモ帳でも改竄は  可能ではあるが)やはりそのような用途に適したソフトを使用することを推奨したい。  秀丸は多くの良いプログラマにも悪いプログラマーにも愛用されている強力なテキス  トエディタで、とりあえずどのようなファイルであろうと、ドラッグ アンド ドロ  ップすれば容易に閲覧、改変、書き戻しができる。どのようなファイルでも開くこと  はできるが、巨大な音声ファイルや画像データを放り込むのはやめた方が良いだろう。  そのようなファイルを改変する場合(24bit音声データは3バイトで1ワード=1サンプ  ルになるが、コピー時などのトラブルでは1バイト単位でデータが欠落する場合があ  る。症状としては、録音がある時間までは正常に進行しているのに、あるところから  フルスイングのノイズになってしまう、など。フォト・ストレージャーなどでストレ  ージしたりすると、機種によりこの症状があらわれる。)や、あるいは故意に暗号化  の一手法として行う場合には、秀丸のようなテキストエディタよりも通称バイナリー  ・エディタ、あるいはマシン語モニターといわれるソフトが適している。いざという  時のために備えておきたいものである。「ファイルの破損と修復」の項を参照  Stirling.exe ver1.31 DDS2氏作  定番中の定番バイナリ・エディタ。  このバージョンは最終1999年版であるが、完成されつくされた観があるが、長大な  ファイル(HD24ファイルなど)の場合は次のDump4w.exeの方が有利となる。  しかし、使い込むなら、機能、安定性においてこちらが定評がある。筆者も十分に  使いこなせていないくらい奥が深い。全読み込みモードのみサポート。  DANDP Binary Editor Ver.1.01 酒井純氏作  筆者愛用のバイナリ・エディタ。何といってもコード別に着色可能で、開けない大  きさのファイルを開こうとすると、あっさり落ちる、好みの電卓を登録できるなど、  とりあえず何のファイルでも気楽に開いて眺めるには好適なつくりになっている。  また附属の「送る」登録ソフトは.iniファイルの内容を書き換えるだけで、どのソフ  トでも「送る」登録(そのファイルを右クリックしたときに出てくる「送る」の一覧  に加える機能)できるのは便利。  Dump4w.exe ver1.28 K.Horishima氏作  近年の超大型ファイル(1TBを超えるような)にも対応すべく開発されつつあるバイ  ナリエディタ。現在のバージョンでは400GBまで動作確認できているそうだが、機能  や完成度ではこれからに期待するべきだろう。一般的な4GB以下のファイルサイズで  もマッピング・モードは真価を発揮するだろう。  Clipdesk.exe ver,231 FHT氏作  別項目で「audacityを使用する場合、メモをとりながら、あるいは作業シートに記入  しながら」の運用を筆者は推奨しているが、なかなかそれが実現できない場合や、任  意の範囲のスナップショットを残すために使用。Windowsやaudacity(ver,1.3.8以降)  にはスクリーンショットの機能(ALT+print screen)があるが、画面の一部分だけの  コピーやこのキーが使えない場合や、保存場所を限定したり時限動作させたり保存  ファイル名も自動命名したい場合にこのソフトウェアは大変有用である。   このテキストのスクリーンショットの多くはclipdeskを使用したものである。  irfanview.exe ver,420〜 Irfan Skiljan氏作  上記Clipdeskなどでキャプチャーした静止画は、ファイルフォーマットを変更したり  タグを打ったり、文字を書き込むなど様々な加工を行うことがよくあるが、何より  次々に素早く閲覧できねばならない。このソフトは多くのフォーマットの静止画を高  速に閲覧し、簡単な加工や編集をすることがメインの仕事であるが、スキャナーなど  を使用し、それらハードに附属のドライバとの連携も優秀で、筆者の作業範囲では十  二分の能力を発揮している。世界的にも大変高い評価と普及率で、多少性格や目的は  異なるが、picaso.exeと人気を2分している。  imemo.exe  ver,5.7 桝岡氏作  テキスト記述型の複素関数電卓(グラフ機能つき)  いたれりつくせりのスーパー関数電卓だが、BASIC言語的な記述入力が必要。もしこ  んなものが筆者の高校生時代にあったら、もっと数学が好きになっていたと思う。し  かし突然出してきて即座に使えるほど簡単ではない。が、普通の関数電卓に飽きたら、  一度は手にしてみたい高性能。  cCalc.exe ver,2.2.1 T.Shiraishi氏作  電卓らしい電卓で、16進、10進、2進の計算結果を常に同時表示できる。また、どの  進数からでも入力できる。関数機能は無いものの、バイナリ・エディタの友として使  用すると吉。バイナリファイルに出てくる数値は逆ポーランド記法されていることが  ほとんどだが、この電卓があれば容易に変換・解読できるかも。   ちなみに普通の電卓や関数電卓は、Windowsに標準で備わっているものも十分に使  えるので一度は使用してみましょう(スタート→すべてのプログラム→アクセサリ→  電卓(XP)で呼び出せ、「表示」で通常電卓か関数電卓か切り替える。またAudacity  のように変数がテキストベースの場合は、コピー/ペーストで入力や出力が容易にで  きる。意外と知られていないことだが、この数値のコピーを行うときに、数値のみ英  数半角なら、ドラッグでコピー取り込みしなくても数値にカーソルを合わせ、ダブル  クリックするだけで、一撃で半角文字列のみマークすることができる)。    MSHEET.exe ver,1.6 島田博幸氏作  五線紙作成ソフト。現場で五線ミニスコア、タブ譜、コード譜を手書きすることが多  いが、十分持っているつもりで五線紙が不足することがよくある。このソフトのおか  げで、もうコピーしに走らなくてもよくなった。このためにポータブルプリンタCANON  BJ-M40の中古を3台購入したほど。やはり譜面は手書きです!!  ChawChaw.exe ver,1.2 有限会社サグラーシェ  本テキスト「Audacityプロフェッショナル・マニュアル」も、試験公開で12版も重ね、  もちろん新しい版ほど記述内容は充実しているのですが、リリースの近い版では、ど  こが変わったのかわからなかったり、読み落としたり気付かなかったりします。  また、変更されるには相応の理由もあるのですが、なにせ文字数が多く、筆者自身も  確認作業に手を焼くことはよくあります。  このソフトはそのようなときに、新旧2つのテキストファイルを読み込み、比較し、両  者の相違する部分を色やアンダーラインでハイライトするソフトです。しかし、真の  利用方法はもっと深遠で、多くのソフトが使用する、コンフィギュレーション・ファイ  ルや、イニシャル(初期化)ファイルも読み込み可能なので、セッティングの変化が、  どの部分にどのように反映されるのかをすぐに見ることができます。これらのファイル  の更新が異常で起こる不具合は、このようなファイル比較ソフトで観察すると作業が  速く能率よく行えます。いくつかのバージョンがリリースされているが、筆者は非イン  ストーラ版を使用している。マニュアルが無いが、基本的にはドロップして閲覧だが、  上書きには注意。