編集 その1                         (C)Y.Utsunomia 2008-2010  メインツールとラベル 編集に先立ち、編集を支援し能率化をするために、有効な仕組みがaudacityには用意 されていることを述べねばならない。波形(時間軸上の)の任意位置に目印を打つ機能 なのだが、その目印を「ラベル」と呼ぶ。 何か波形を表示してみよう。(製作でつくるか、ファイルを読み込み・・)  F1で選択ツールを持ち、  波形の任意位置にマウスカーソルを持って行き、  左クリックすると、その時間位置に縦線のカーソルが現れる。  さらに画面上部の「トラック」→「選択位置にラベル・・」(またはCtrl+B)で  ラベルトラックが現れ、「ラベル名称入力待ち」状態になる。  (そのラベルの消去は、名称欄をクリックし、「del」キー) このラベルによるマークは、絶対サンプル数による最高度に正確なもので、能率の高い 編集の要となる。ラベルの使用を習慣化しよう。 (正確な場所を確定するには、それぞれの場所について、波形に時間軸方向の拡大縮小 を必要とするが、この作業が時間をとられる「面倒な」部分だ。せっかく拡大し位置確 定できたなら、「即座にラベル」をつけることで、次にその場所を参照するときに、 メモ付きで一発場所出しできるようになる) ラベルはテキストファイルとして入出力できるが、そのコマンドはファイルメニューに ある・・・。 メイン・ツール  編集で使用頻度の高いツールは、専用のツールバーに特徴的なアイコンで配置されて いる。メインツール(全6種)をクリックすると、マウスカーソルが変化し選んだツー ルの機能がマウスカーソルに与えられる。ツールの機能はトラック部分のみで発揮され、 ツールバーではただのカーソルとして機能。この6種のツールの選択は、マークをクリ ックするか、6種がF1〜F6にそれぞれ割り当てられているので、マウスカーソルを動か したくない場合はFキーで切り替えると操作しやすい。 ○ 選択ツール(F1)  左上の「I」印は「選択ツール」または「位置指定ツール」とよばれるもので、通常 はこのモード(起動時のデフォルト)に戻しておく。(編集→設定→マウス)に一覧が あるが、その一覧よりも多機能なようだ。 主要な機能は 1)波形のどこかで左クリックすると、その位置を指定。(位置ラインが表示される。  再生はその場所から行われる。)  * Ctrl+Bでラベルを打つことができる。後述 1-a)トラック最上段の上にある時間スケール上でクリックすると、再生ボタンを押さ  なくてもその場所からクイック再生。 1-b) 波形表示部分のどこかにカーソルを持って行き、Ctrl+左クリックでその場所か  らクイック再生。その場所が選択範囲より前なら、選択範囲の最後まで再生。選択範  囲より後なら最後まで再生。 2)波形の任意の場所をドラッグすると、その範囲が色づけ表示され「選択範囲」に。  選択範囲は、「選択範囲を書き出し」でその部分だけのファイル出力を、  「効果」で、その範囲に効果の実施を行う。  * Ctrl+Bで範囲にラベルを打つことができる。後述 2-a)選択範囲の微調整。とりあえずおおよそ選択範囲を指定したら、指定範囲の始点  あるいは終点にカーソルを近づける。一定以上近づけるとカーソルが指差しマークに  変化。  この指差しマークの状態が、指定範囲の微調整モードなので、拡大表示しながら微調  整を行う。 2-b)shiftキーを押さえながら操作すると、もともとの指定範囲から遠くても微調整モ  ードになる。(微調整というより位置修正か)*ラベルも位置修正できる。  shiftキーを押さえない場合は、新たな指定のモードになる。 3)トラック波形始点の左の、波形振幅スケール部分にカーソルを持っていくと、カー  ソルが虫眼鏡マークに変化。左クリックで振幅をズームイン。右クリックでズームア  ウト。 4)トラック左端ステータス表示部分。トラックの並びをソートしたり、そのトラック  全体を選択する場合はステータス表示部分をつかむ、あるいはクリック。 5)トラックの上下端では、カーソルが上下矢印になり、そのトラック画面の大きさの  任意変更モード。 **選択ツールは最も使用頻度の高いツールで、ほとんどの作業は選択ツールで位置  (範囲)指定を行い、編集や効果を適用するので、思い通りに、的確に位置指定でき  るように練習を行う。もちろん精密な位置指定には、波形の拡大や縮小を駆使しなけ  ればならず、どのような手順で目的の場所を探せばよいか、よく考えながら作業しな  ければならない。   コンピュータベースの編集では、「ここ!」という場所で一時停止やマーク打ちを  しても実行動作が遅れるため場所の確定に手間取ることが多い。audactyでも同様であ  るが、開くトラックの数が少ない場合は、この遅れも少ない。   指定範囲は通常一つの範囲しか指定できないが、audacity には「ラベルトラック」  や正確なカウンタ(様々な表示形態が用意されている)があるので、紙とペンによる  メモが絶大な威力を発揮するだろう。(多くのDAWソフトでは、カウンタの最小分解  能がミリ秒のものが多く、また不正確なものもあるが、audacityではミリ秒はおろか、  秒以下をサンプル数で表示することもできる。このような配慮があるので、メモが有  効なのである。(ラベルトラックについては後述) ***カウンタ   メモがある場合、その数値は画面最下段のカウンタに書き戻せる。左が選択範囲開  始位置、中央が選択範囲「終了」位置、または選択範囲の「長さ」、の2つから選択  できる。  右は今現在の再生位置を示す。   <<編集位置管理情報トラック=ラベルトラック>> audacityでは選択ツールで、場所(時間の)、あるいは範囲(時間の)を指定し、 各種のエフェクトや各種の編集を行う。しかしaudacityの高度な性能を引き出すには、 より高精度の時間位置の指定(時間軸の拡大と的確なモニター・・・それなりに熟練と集 中が必要)し、実行する必要があるが、初心者の多くはすでにこの作業で挫折している。 せっかく「その位置」を割り出したのなら、大した手間ではないので「ラベル」を的確 に利用しよう。そうすれば一度割り出した時間位置は、ワンクリックで正確に再現でき る。後述 **選択範囲をラベルトラックに転写するには   選択範囲を精密に指定し、トラック(全体の)メニューから「選択範囲にラベルを  つける」をクリックすることで、転写できる。  ショートカット「Ctrl+B」でも可能。ただし非再生中に限る。 ++ラベルトラックを選択範囲に戻すには   ラベルトラックの名称欄を左シングルクリック。   この機能をうまく利用すると、高度なロケーターとして使用できる。ラベルは複数  オーバーラップしていても問題なく使用できる。 ++ラベルトラックの内容は「ファイル」→「ラベルの書き出し」で、テキスト出力で  きる。書式を守ればメモ帳で数値入力可能。読み込みは「ファイル」→「取り込み」  →「ラベル」で取り込む。  +++ラベルの消去  ラベルは名称欄をクリックすると選択できるが、選択し、Delキーでそのラベルを消去  できる。 ++++複数のラベルトラックを同時に使用することができるが、書き出しや読み込み  は、マージされた状態(単一のラベルとして合体)になるので、個別に出力したい場  合は、一旦X印で消去し、必要なものをファイル出力し、その後次のラベルトラックを  書き出すときにはUNDOで復活させ、今度は最初に書き出したラベルトラックをX印で  消去し書き出す。その後再びUNDOで復活という、少し面倒な操作が必要。 計画的に作業を行うには、ガイドトラックが作成されたらこのラベルトラックをそれに 次いで作成すると手順を合理化できる。 ***重要な意味を持つポイント(既に設定された範囲の開始点、終了点や単独のポイ   ント、波形そのものの開始点や終了点では、カーソルがそこに近づくと「吸い込ま   れて」ジャストになるようにできている。吸い込まれてジャストになると、黄色い   線が現われ、吸い込まれたことを操作者に知らせる。波形と波形の接続(スプライ   シング)では1サンプル隙間ができるので注意する(ver,1.3.x)。ただしこの隙間   は単なる不連続の表示で、そのラインをクリックすることで隙間は消滅する。   また、このような編集ポイントは後からでは探しづらく、消滅させる前にラベルを   打っておくこと。(そのポイントを探すためにUNDOするなどもってのほか・・。) ○ エンベロープツール(F2)  メインツール上段中央は「プリズムで屈折しているような」アイコンで、エンベロー プ・ツールという名称。音楽制作的にはフェーダーツールとでも呼びたくなる機能で、 このツールを用いて時々刻々と変化するフェーダーの位置情報を書き込むことができる。  計測用途では、通常のリニア波形表示が使いやすいかもしれないが、音楽用途では聴 覚が対数的な感度特性を持つため、「デシリニア」なスケールである「波形(dB)」 の表示モードが使いやすい。波形表示窓の左側の各トラックプルダウンメニューで切り 替えることができる。  最初から全ての表示を「波形(dB)」にデフォルト設定するには「編集」→「設定」→ 「インターフェース」の右側に、デフォルト設定欄がある。 ***フェーダーストロークを変える   audacityではフェーダーに相当する機能に、その可変範囲を設定することが可能で ある。  上記の「インターフェース」設定画面の右上に、「波形(dB)表示における表示範囲の 最小」設定がある。波形表示窓の中央線はレベル−∞(無音時のレベル)を表すが、 「その少し上」のレベルを設定できるのである。フェーダーのストロークは波形の上限 から中央線(または下限から中央線)までであるが、中央線より少し上のところを割り 込むと急に絞り切りになってしまう(絞りきり)。   つまりフェーダーの「使える最小レベル」はこのラインなのだが、その値をこの画  面で設定できる。-36dBから-145dBなのだが、音楽制作では分野によりこの値が変えら  れることは大変画期的で、例えば、ポップスのバランス操作などでは-36dBか-48dBが  適切であろう。現代音楽や、歪みを含む極端な音作りでは-60dBや-96dBも利用価値が  あるだろう。  (これらの設定は「波形(dB)」表示で有効)  *将来のバージョンで、カーソルをその場所へ当てると減衰値が表示・確認できるよ  うになると大変便利なのだが・・・。あるいはエンベロープレイヤーのみ分離、表示  修正、および読み込み書き出しできるようになれば、さらに素敵だ。 **エンベロープツールの操作   このツールは波形上にポイントを打つと、そのポイントどうしをラインで結び、フ  ェーダーの動き(=エンベロープ)とする。一箇所ポイントを打つと、縦に4っつの  ポイントが現われるが、原則としてこの4っつのポイントの一つをつまんで「上下左  右」に動かして操作する。   不用意にクリックしすぎて、ポイントが多く付き過ぎて邪魔な場合は、そのポイン  トを波形枠の上か下の外側まで、ドラッグしてドロップすると、そのポイントは消去  できる。   上半分の2つのポイントに着目して解説すると、絞っていくときには上のポイント  を持つと絞込みが滑らかに行える。(0dB〜絞る方向に使いやすい。)下のポイントを  持つとレベルを上げる方向に操作しやすい。(0dB〜上げる方向に使いやすい。)   波形表示は「波形(dB)」が便利だが、とくにエンベロープを書き込むときには、  波形の上半分だけの表示にすると、レベルの把握、書き込みスペースの増加により  作業が大変楽になる。方法は「波形(dB)」に切り替え、波形レベルスケール部分の  中央(−∞)部分から「1」へドラッグすると、波形のプラス側(上側)のみの表示  になる。失敗した場合は、レベルスケール上で何回か右クリックし、変化しなくなっ  たら、1度左クリックすると元の表示範囲に戻る。 注意)   レベルを上げ、その結果、波形がクリップする場合(波形表示枠に波形がめり込ん  だ状態では、クリップを警告する意味で、めり込んだ部分が点線で表示される。点線  で表示されていない場合はクリップしないだろう。 ***作業の見通し(+仕組み上の注意)   audacityはオフライン処理のソフトなので、音を出しながらのエンベロープ操作は  できない。  また、エンベロープツールの実行そのものは、ファイル書き出しや「ミックスして作  成」の直前に行われる。つまりエンベロープを設定(レベルを下げる方向で)して、  その後増幅(レベルを上げる方向で)を行うと、下げて→上げるのでクリップしない  はずなのだが、実際の処理は上げて→下げるので、上げたときにクリップする可能性  がある。   この問題を避けるには、この内部動作を理解することと、面倒でもエンベロープ設  定後に一度ファイル書き出しを行い、再度その書き出したファイルを読み込むことで、  手順を強制することができる。   32bitフロートの演算精度は強力で、一度エンベロープ設定し書き出した(レンダリ  ングともいう)ファイルを再度読み込み、さらにエンベロープ処理をしてもほとんど  劣化しない。(とくにver,1.3.8以降では、上記のクリップする操作パターンでも完全  浮動小数点化によりクリップしない)    つまり大まかなエンベロープ設定と、詳細なエンベロープ処理を2段階にわけて作業  すると楽になる場合もあるし、複数回のエンベロープ処理を経てもその割りに劣化は  少なく、必要に応じて計画的に作業を行うことを推奨する。  (しかし、差分抽出などでは、作業手順によって明確な差が現れるので注意する) 注記)エンベロープ操作は、「全ての処理の後」で行われ、エンベロープを書き込んだ  後から各種のエフェクトを行っても、そのエンベロープは無効になる場合もあるため、  エンベロープを書き込んだ後に何らかの処理を行う場合(「ミックスして作成」を  除く)、必ずファイル書き出しを行っておくことを強く推奨する。また現バージョン  で、書き込んだエンベロープはプロジェクトファイルの中だけに存在し、容易にこの  情報のみを書き出すことは出来ないので注意。 ○ ペンシル・ツール(F3)   波形をハンド・ドロー(手書き修正)するためのツールである。 ** このツールは通常の波形の時間軸表示倍率では機能せず、そのことのメッセージ  が表示される。このツールを使用するには、時間軸表示倍率を+ズームして、サンプ  ル単位の表示倍率(ある倍率以上で、波形に等間隔のツブツブが表示されるが、この  ツブツブひとつが1サンプルである。)まで上げ、そのツブをつまんで上下に動かすこ  とで手書き修正を行う。   このツールの操作は単純で、1サンプルのみの修正を行うときには、Ctrlボタンを  押しながら、大雑把に書き換えるなら、新しい波形の形をドラッグ(Ctrlボタン無し  で)すると実現できる。  表示はツブ一つ一つが「サンプル」で、線はそのサンプルを結んでいるに過ぎないこ  とを意識しながら行うと作業しやすい。   このツールはクリエイティブな操作というよりも、クリックノイズやスイッチ切り  替え時のパルスノイズなどの修正に役立つ。ノイズ抑制が目的の場合は「波形(dB)」  表示との組み合わせも使いやすい。 ○ 拡大ツール(F4)   左下、ルーペのアイコンで時間軸方向の拡大縮小表示ツール。  拡大縮小は編集ツールバーの右側に配置されたルーペボタンのクリックでも可能なた  め、このツールをあまり使用しない方が多いが(使用しなくても何とかなるため)、  意外と便利なので熟練するに従い使用するよう心がけたいものだ。使用しない場合は  選択ツールを持ったまま、編集ツールバーの右側のルーペマークをクリック連打する  ようであるが、拡大ツールの場合は拡大箇所にカーソルを合わせ、クリックするだけ  なので位置がずれにくい。拡大ツールを使用せずルーペマークをクリックする場合、  audacityはカーソル線位置を中心に拡大しようとするので、次第に「拡大したい場  所」から外れてしまうが、拡大ツールを使用する場合は常にカーソル部分が拡大さ  れるのでコントロールしやすいのだ。また選択ツールは選択ツールであり、クリック  するとその部分が選択範囲になってしまうため、選択範囲とは無関係に拡大すること  ができない。   拡大率は、元の長さにもよるが、サンプル単位が見えるほどの拡大とは10万倍ほど  にもなり大変なズーム倍率なのである。   拡大ツールを使用している場合、拡大したい場所にカーソルを持って行き、左クリ  ックで拡大されていくが、Shiftキーを押しながら左クリックすると逆転、ズームダウ  ンしていく。  ズームダウンは右クリックでも行える。ズームアップしたい「部分範囲」を一気に拡  大するには、ドラッグするだけで、「選択範囲とは無関係に」その部分範囲の拡大が  できる。   まめに拡大ツールに持ち替えたいものだ。この項の冒頭でも記したが、F1〜F6にツ  ールが割り当てられている(拡大ツールはF4)ので、不要にカーソルを動かすことなく  ツールの切り替えが可能だ。 ○ タイムシフト・ツール(F5) <注意:おそらくver,1.3.10〜(12も)のバグのようだが、ステレオトラックで、タイ  ムシフトする際に、一時的にステレオリンクが外れるという問題がある。つまり、  ドラッグしている片方のトラックしか動かないというトラブルなのだが、気付いたら  すぐにUNDOで戻し、「トラブルシューティング」の項を参照下さい。>>   その名のとおり、各トラックを個別に時間軸方向(左右に)移動させるツールであ  る。あまりに簡単にずらせることが、しかも高分解能(1サンプル単位)でできてしま  うが、この各トラックの時間軸上の位置関係は、音楽などでは最重要な要素でもあり、  テープの時代には容易には実現することができなかった。   それだけにこのような機能について詳しく書かれた解説書は無く、自分が今何を  しようとしているのか考えながら作業を行うべきである(音楽、演奏そのものの意味に  影響を与えるため・・)。 **通常、トラックが空白のない連続したワンピースの場合、タイムシフトはトラック  全体に対して作用するが、分割切り取りや分割で不連続部分ができると、その不連続  部分を境に「島」部分単独でタイムシフトできるようになる。 ***ver,1.3.x系で、タイムシフトツールはさらに機能拡張された。ver,1.2.x系では  文字通りタイムシフトするだけであったが、ver,1.3.xからはこの機能に加え、異なる  トラック間で、データ一元化(音データのトラック間移動)ができるようになった。  (詳細は後述) ☆ラベルとの関係  ラベルはトラックの時間軸上の位置の目印なのだが、タイムシフトツールは、トラッ クの時間位置自体をシフト(時間軸の相対位置での前後)する操作なので、ラベルを 使用している場合、その操作上の関係性を把握しておかなければ、ラベル付けの努力 が水泡に帰してしまう。(ラベルのみをタイムシフトすることも可能) ○トラックとラベルの連動モード  ラベルを付けたそのままの状態では、タイムシフトツールでトラックのタイムシフト を行うと、ラベルは連動して動く。このときの表示は「波形とラベルの両方の選択部分 の色が濃くなっている」状態で、色の濃い部分を左クリックで摘んで、左右に動かすと 波形とラベルの位置が連動して動く。  この状態で、非選択部分(色の濃くない部分)を摘んで左クリックで左右に動かすと 波形だけがシフトし、ラベルには影響を与えない。(非連動)  この連動状態に戻したい場合は、「トラック」→「ラベルの編集」を一旦選び 「キャンセル」で戻ると、連動状態に入ることができる。 ○トラックとラベルの非連動モード(トラックのみの移動)  「波形とラベルの両方の選択部分の色が濃くなっている」以外の状態で、トラックと ラベルは連動せず、波形の時間位置のみシフトする。(ラベルは固定) また、ラベルの名称部分をクリックすると、「波形部分のみ選択部分の色が濃くなる」 が、この色の濃い部分はシフトに連動し、左右にシフトする。  この機能を利用し、移動先でCtrl+Bで新たなラベルを作成すると、移動量のマークを ラベルに記入することができる。これで、UNDOを使用しなくても、シフトを元に戻すこ とが簡単にできる。 ○ラベルのみのタイムシフト(波形位置は固定または選択部分の定サンプル数シフト)  ラベルトラック上で左クリックしたまま、波形表示トラックまでドラッグし、そのま ま左ボタンを離さず左右にドラッグすると、ラベルトラック全体かつラベルトラックの みのタイムシフトモードとなる。  この作業の前にラベル名称部分をクリックし、選択しておくと、その選択範囲の時間 長さ(サンプル数)を保ったまま、選択範囲を変更することができる。この場合は、 選択範囲の色の変わった部分も連動し、ファインダー状態でシフトできる。  測定用途では極めて重宝する機能だ。 ☆ 何に使えるか。  audacityの編集は、特定のトラック上にスプライシングで貼り付けて作業を行うわけ  ではなく素材はそれぞれ異なるトラックに置いておき、接合したいポイントまでこの  タイムシフトツールで移動させ、それぞれの接続位置が確定したら、最終的に「ミッ  クスして作成」でトラックを一本化(モノあるいはステレオで)を行う。  (クロスフェードなどのトラック間オーバーラップある場合)  (オーバーラップが無い場合、ver,1.3.x以上では波形データそのものをトラック間で  ドラッグできるよう機能拡張された・・後述)   ドラマやサウンドトラックの編集作業では、この機能が充実していなければ何もで  きない。サウンドトラックの場合、audacityそのものには同期の機能がほとんどない  が、最初に同時録音されたトラックをワンピースで読み込み、その同録トラックを参  照しながら、セリフや音楽や効果音を別のトラックに読み込むかアフレコし、タイム  シフトツールで精密に位置合わせを行い、同録トラック以外を「ミックスして作成」  かファイル書き出しで出力する。   同録と同じ時間軸を持つ(サンプル単位で)アフレコトラックなので、MAターミナ  ルが正しく動作していれば、こうして作成した「リフレッシュ音声」は必ず映像にぴ  ったり合うはずである。ところが、どういうわけか長さが1時間もあると結構なずれ  が発生することがあり、その場合は致し方ないので、タイムトラックを設定し、どこ  でどれだけずれたのかを尺あわせする。このために、タイムトラックには絶対時間  尺とaudacity内部時間尺があり、ずれを直読設定できるように工夫されている。た  だしタイムトラックを設定し、ファイル出力するとリサンプルが入り、一定サンプリ  ング周波数(プロジェクトで設定した数値の)で出力される。  音楽専用に特化した作品では注意のこと。詳細は「MA作業」を参照。 X マルチトラック録音/ペアマイクステレオ録音への応用   タイムアライメントの修正に利用できる。マルチレコーディングでは、一つの空間  に複数のマイクロホンを立てることがしばしばある。代表的な例ではドラムセットの  録音である。マルチ録音のドラムセットの録音では、各楽器(スネアドラム、バスド  ラム、ハイハット、タムタム類、シンバル類、など)に各1〜2本のマイクに加えオー  バートップ・ステレオのマイクが加わり、合計10本から多いときには20本のマイクを  同時使用することになる。当たり前のようにこのスタイルを継承してきているが、そ  れぞれのマイクには、個別に立てたマイクのターゲットの音(仮にタムタムとしよう)  以外に、他の音源の音(例えばスネアやバスドラムの)が混入する。この目的以外の  音を「クロストーク」というが、このクロストークは単に別の音源の音が混入してい  るわけではなく、「時差」を伴って混入している。つまりタムタムのマイクに混入し  たスネアの音は、スネアに立てたマイクから来たスネアの音よりも、その「距離分」  遅れている。時差のある同じ音源の音は、コム・フィルターという非常に複雑な櫛の  形の伝送特性(積極的な利用では、フランジャーという効果)になり、強い音色上の  クセとして現れ通常のフィルターでは取り除くことはできない。   実務的な言い方をすれば、それぞれ単独に個別に音作りをしても、ドラムス全部の  トラックを合わせてみるとひどい音になる、といった問題でよく知られている。   かねてよりこの「クロストーク」を改善抑制するために、接話型(ナローな指向性  の近接収音用)のマイクやコンタクト・ピックアップを使用したり、「ノイズゲート」  と呼ばれるゲインリダクションを個別に用いたりすることが行われるが、いずれも根  本的解決にはなってはいない。根本的な解決で最も有効な方法は、使用するマイクの  本数を吟味し、可能な限り減らすことである。あるいは音源により別録音(最初はス  ネア、バスドラム、ハイハットなどを、テイクを分け次にそれら以外を録音)するな  どの方法も用いられるが、演奏者がそれに対応できなければならない。   audacityの作業では、精密な時間軸上の位置合わせが容易なのであるが、そのため  には録音時の詳細なマイク位置情報が必要である。それぞれのマイクの、空間におけ  るX、Y、Zデータがあれば大変有効ではあるが、せめてそれぞれのマイクの相互の距  離のデータがあれば、十分に役立つ。そのデータ収集もできない場合、楽器単独の  音に対するすべてのマイクのレスポンス(時間軸上の)録音があれば十分に役立つ。  とくに一般的なポップス録音のドラムスにおいて、主役(音楽上のプライオリティー  が高いという意味で)はスネアドラムであり、また実際の演奏においてもスネアの音  が他のマイクにおよぼすクロストークが問題なのであって、タムタムの音がスネアド  ラムにクロストークすることは、あまり考える必要は無い。   したがって、作業はクロストークの深刻なトラック間について、優勢な成分(大抵  はスネアドラムだろう)について、タイムシフトツールによって時性を一致させ、そ  こから音作りを(必要なら、打消しを試みながら)行うことで、先に指摘した「合わ  せてみるとひどい音になる」状態が大幅に緩和されているはずだ。完全なキャンセリ  ングは、それぞれのマイク位置におけるその音の位相伝達特性が異なるため、不可能  ではあるが、「整合性」は大幅に向上する。 X  ペアマイクステレオや、先のオーバートップにおいて、左右のレベルは同じなのに、  なぜかセンター成分(中央定位成分)があまく、左右のどちらかに寄って聴こえるこ  とがしばしば我々を悩ませる。左右のレベル精密に合わせても、そのような偏りが起  こる場合、多くはそもそものマイクのセット位置が、音源に対してシンメトリーでな  いことに起因する「ハース効果」という聴覚上の問題であることが多い。また立  て位置のマズさがわかってはいても、リモコン操作のできないオーケストラ用の吊り  マイクやライブ録音では、事情が事情だけに容易にマイク位置を修正できない。   このような場合にもaudactyのタイムシフトツールは抜群の力を発揮する。1サン  プル単位での時間軸位置合わせが容易であり、必要なら1サンプル以下の分解能を得  ることすら可能だからだ。(1サンプル以下の分解能を得る方法は「サンプリング周  波数」を参照)   聴覚だけの検聴で自身がもてない場合は、その他のプログラムで紹介した、  WaveSpectra.exeや、LevelOfLineIn.exeを用いリサージュ波(リサジュー波とも)  を参照することで、視覚も動員できる。普通この作業は容易ではない。 参考)修正できるマイク位置の物理距離分解能  サンプリング周波数=48000Hzとすると、1サンプルの時間は=1/48000(秒)≒0.02msec 音速を340m/secとすると、1サンプル分の距離は7.072mm もし8倍オーバーサンプリ  ング処理を行ったとすると、 1サンプル分の距離は0.884mm となり1mm以下のマイク  位置修正にも対応できる。 参考2)コム・フィルターによるディップ位置の計算方法  遅れ時間をtd、ディップ周波数をf(n)、低い周波数からn=1以上の整数として  f(n)=n(1/td)-1/2td で表され、  td=1msとすると、500、1500、2500、3500、4500、5500、6500、・・・(Hz)となる。  X マルチトラック録音における「ノリ」の修正  ポップス(クラシックでも)では、演奏のアンサンブル性、とくに時間位置の一致具  合、あるいは一定テンポに対するゆらぎ性は「ノリ」という言葉で表される。様々な  場面で使用されるが、とくにソロパートでは「ノリ」具合が聴感覚上重要で、他のパ  ートや定テンポにジャストあるいは遅めの場合、「ノリが悪い」といい、ジャストよ  り微妙に早かったり、先行状態が巧妙に入っていたりすると「ノリが良い」と評する。  具体的にどのくらいの時間感覚で「遅い」「ジャスト」「いい」と感じるかは音楽の  分野や研究によって様々な見解があるが、明確に1msecを聞き分け、10msec遅れでは  耐え難い「後ノリに」、5〜15msecの先行状態制御で「良い」と、筆者の研究では結  論している。このノリは演奏者の心理状態や習熟度が大きく影響し、録音の現場で必  ずしも良い結果が出せるとは限らない。(緊張や過酷なスケジュールは往々にしてノ  リの悪さにつながる)   演奏そのものに情熱を傾ける人たちには「反則」とも取られかねないが、筆者の録  音ではしばしばノリの修正を行う。とくにソロパートに関して「後ノリ」は致命的で、  そのような録音物を公表した暁にはその演奏者のその後の評価も落としかねない。   要は不適切に「後ノリ」と感じられる(あくまで聴感上の判断で)場合や、ノリが  「今ひとつ・・・」と感じられる場合、そのパートを時間軸上で進める処理を行う。  どれくらい進めると最適なのかは場合によるが、5〜10msec、場合によっては20msec  以上も先行させることがある。   人間の演奏とはこのように1/1000秒を上回る精度を持っているわけで、後述するデ  ジタル特有のレーテンシーの問題は結構深刻であることがわかる。単にA/D、D/A変換  するだけで、1ms近く遅れるのだからたまらない。何せ優秀な演奏者になると2回演奏  や歌を歌っても、位相精度で同一で、両方同時に聴いてもその演奏が1回なのか、2回  分なのか違いがわからないほどなのである。   アナログの時代この処理は大変だった。なぜなら、特定パートを遅らせることは、  ミックスダウン時に、そのパートのみに遅延(デジタル・ディレー登場前にはテープ  ・ディレーを)すれば良いだけなのであるが、進ませることは大変困難で(そのパー  ト以外を遅らせるなどもってのほか!)、マルチテープを逆回転にし(リールを入れ  替えて)、そのパートにディレーし、空きトラックへ録音する。録音が終わったら再  びリールを入れ替え正常方向に戻す。  (つまり逆回転状態での遅れは、正回転での「進み」になるからだ)   録音機がデジタルになって唯一よくなったと感じることは、レコーダーそのものが  このタイムアライメントの調整機能を備えている機種が多かったことである。(もっ  ともデジタルレコ−ダーではテープ走行の反転をすることができないので、この機能  を搭載したものが多かった、という説もある。みんな口に出しては言わないものの、  考えたり具体的手段はよく似ているものだ) X audacityでの録音におけるレーテンシーの補正  audacityに限らず、ほとんどのデジタル録音システム(DAW)では、少なくない何らか  の信号や操作の遅れ存在し、このときの信号の遅れをレーテンシーと呼ぶ。先にも触  れたが、単なるA/D変換やD/A変換でも無視できない遅れがあり、これに加え、既に録  音されたトラックの再生や各トラックのリアルタイム処理によりただならぬ遅れが発  生するのである。この遅れについての補正は機能が多くなるほどに困難になり、不安  定にもなっていく。遅れがあることそのものはどうしようもないことなので、とにか  くその遅れを一定化し、最終的に並んだトラックの間で時差が生じないようにしよう  という考え方が現在の主流である。   この一定化の試みとして、知られた名称としてはスタインバーグ社の提唱する  「ASIO」などが有名である。  (録音装置として徹底した低レーテンシーと時差の安定化、並んだトラックの同時  刻性をもとめるなら、ストリーム/ファイル専用のOSとソフトウェアによって構築さ  れた専用機にそれを期待するしかないのが現状である)   audacityに関して実装されているのは、遅れの一定化までで、最短化については今  ひとつのレベルであると思う。つまり遅れそのものはそれなりにあり、使用者の工夫  が無ければ各トラックの同時刻性も得られない。 レーテンシー・キャリブレーション  1)プロジェクトサンプリング周波数をデバイスが処理可能な値に設定する。  2)長周期のインパルス(1秒以上)が都合が良いのだが、「製作」ではつくれない    ので無音を10秒程度作成し、ペンシルでところどころ1サンプルインパルスのあ    るトラックを作成する。またはWaveGene.exeを用いて1Hzまたは0.1Hzのパルス    波をファイル出力し、audacityに読み込ませる。  3)入出力デバイスを設定し、その状態でデバイスの入出力間を直接接続する。  4)編集→設定→オーディオI/Oのスルー再生を「オーバーダブ」に設定  5)再生録音を一度行ってみて、録音レベルを適正化する。  6)再生録音を行う。  7)このときに作成されたトラックと、再生に使用したトラックの時差が、    各トラックの同時刻性で、2つのトラックが同時になるように、編集→設定→オ    ーディオI/Oのレーテンシー補正の値を調整する。    再生トラックと録音したトラックのインパルスの時差を読み取り、現在のレイテ    ンシー補正値に加算すればよいのであるが、もし録音したトラックが遅れている    なら、補正値はより大きな値になる。 * この設定窓には補正値以外にバッファーサイズの指定がある。この数値を小さくす   ると遅れそのものは小さくなるが、マシンの処理能力(ハードディスクの速度も)   を超えると「サンプル落ち」の状態になり、音があるときにだけ「パツパツ」音が   聴こえるようになる。(正弦波などのとき)   バッファーサイズを小さくしたときにはレイテンシー補正も同じ数値だけ足し合わ  せる(0に近づけなければならない)。   この2つの数値が正しくセットされたときの、バッファーサイズの絶対値とレイテ  ンシー補正値の絶対値の差が真のレイテンシーである。(バッファサイズ=100msec、  補正値=−129.08msecとすると レイテンシーの真値は29.08msecとなる。   ところが、この数値は、あるサンプリング周波数、あるデバイス、あるタスクの状  態固有のもので、これらが変化すると、最適補正値も変化してしまう。ポップスのマ  ルチレコーディングに用いるなら、正確に数値化しておくと良いが、頻繁にサンプリ  ング周波数を変化させたりリサンプルを使い、様々な時間操作を行うときには不便で  ある。どれくらいのずれがあるか把握し、トラックを録音後にタイムシフトツールで  数値補正するほうが、簡単かもしれない。レイテンシー補正といっても、実際には  セットした数値分、録音が終わった直後に自動でタイムシフトしているだけなのだか  ら。    注意)タイムシフトツールで操作したトラックの保存の注意    タイムシフトし右方向にトラックを移動した場合、0秒からトラックの先頭までに  空白ができるが、ここは無音ではなく空白である。そのまま「ミックスして作成」を  する場合は問題ないが、各トラックを複数ファイルの書き出しで、トラック個別出力  する場合、この空白は取り消され、タイムシフトする前の位置(つまり先頭揃え)と  同じデータになってしまう。(シフト位置の再現は できない)   この問題に対応するには、  ○ 空白部分を無音に置き換え保存。=そのトラックを選択し「ミックスして作成」   を実行  ○ プロジェクトファイル  ○ カスタムミックスでマルチトラックファイル化して保存  ○ 先頭位置を表すラベルトラックを作成して一括管理  などの方法を使用する。 ○ マルチ・ツール (F6)(*印)  このツールは選択ツール(F1)、エンベロープツール(F2)、ペンシルツール(F3)、 タイムシフトツール(F5)を統合したツールで、作業に慣れれば、効率的な作業ができ る。動作条件を列記すると、 カーソルが、レベル軸(縦軸)の位置(波形のゼロ付近か、中位位置(0.5)付近か、 最大値(1)付近かなど)のどの辺りにあるかで、選択ツールなのか、エンベロープ ツールかが自動選択される。 ☆初期状態で、カーソルが0.5と1の高さのあたりにあるときには、エンベロープツール  が、それ以外の高さにあるときは選択ツールがカーソルになる。  カーソルを持っていけば、高さでカーソルが変化するので、理解は容易だろう。 ☆Ctrlボタンが押さえられているときには、タイムシフトツールとなる。 ☆波形を時間軸方向に拡大すると、やがて「1サンプル」が見える(通常10クリック以上  拡大ボタンを押すことになるが)ようになるが、このときにカーソルが波形と重な  るとペンシルツールがカーソルになる。波形が数珠のようにツブが見えないときには  出現しないので、ペンシルツールを使用する場合は、さらに拡大する。  面倒なのは、0.5と1の高さに波形がある場合で、この場合はエンベロープツールが  優先するので、あきらめてペンシルツール(F3)を選択しよう。 ○補助トラックのまとめ(この項の上記部分にも解説有り)  通常使用するオーディオトラック以外に、動作や操作を補助するための専用トラック  が用意されている。 *タイムトラック  audacityの画面では、波形表示部分の上に時間尺があるが、この時間は絶対時間を表  している。  「トラック」→「新しく追加」→「タイムトラック」を選択すると、「タイムトラッ  ク」が現れる。このトラック上部には時間尺と「操作リボン」がある。  この操作リボンを操作するには「エンベロープ・ツール」を用いる。  エンベロープ(フェーダー操作情報と同等)の記入と同じように、リボン上にカーソ  ルを持っていき、左クリックするとポイントを打つことができる。このポイントを  ドラッグすることで操作情報記入する。  記入すると絶対時間尺とタイムトラック時間尺は一致しなくなる。タイムトラック時  間尺はオーディオファイル上の論理時間を表す。  この表示によって、タイミングを合わせたり、尺合わせなどに利用する。  **この機能は古くから搭載されているが、動作を見る限り、この機能はまだ未完成  のようである・・・。  (詳しくは、それぞれの項目を参照) *ラベルトラック(編集位置管理情報)  ユニバーサルに使用できる、時間軸上の目印。  例えば、  ロケーターとして頭出しのポイントとして、  部分的にプラグイン処理する場合の選択位置、  あるいは処理を行った場所の目印として  部分切り出しの位置情報としてなど、  あらゆる用途に使用可能であるし、編集などでは極力使用できるように訓練すべき。  精度は1サンプルで、それぞれのポイントや領域に名称を書き込むことができる。  このトラックの内容はトラック単独でテキストファイルとして出力できる。  また逆にテキストエディタでデータを論理作成し(電子音楽ではしばしば必要になる  機能)読み込むことができる。ラベルマーキングはCtrl+B。  複数のラベルトラックを使用できるが、書き出し時にはマージされる。 *ステレオトラックの特別な機能  通常使用されるステレオトラックの片方のトラックも、しばしば補助トラックとして  使用される。例としては、「オートドック」「ボコーダー」など。  audacityはテキストデータ(単なるデータチャンク)ですら、オーディオデータとし  て読み込み可能なので、工夫すれば「電子音楽」用途には力強い戦力となるだろう。 ***タイムシフトツールの機能拡張について(ver,1.3.x以上)  本来タイムシフトツールは、選んだトラック(単に波形データ表示を左クリックした  ままでドラッグすること、そのトラックを選んだことになる)について、そのトラッ  クの中だけで、時間軸移動する機能であったが、ver,1.3.x以上で機能拡張され、  そのまま別のトラックにドラッグ貼り付けできるようになった。   この機能を使用するには、移動元(移動するトラック)が選択されていないことと  移動先トラックの移動貼り付け部分が「空白」(無音ではなく空白でなければならな  い)の必要がある。   一般的には貼り付けたいトラック(移動先トラック)を選択しておき、次に移動す  るデータをタイムシフトツールで摘んでドラッグし、そのまま位置調整するが、  隙間無く接合する場合は、波形を近づけていき「黄色い線」が現れたところが、ジャ  スト(隙間なし=1サンプルの空隙)の状態である。(それ以上移動しても、オーバー  ラップはしない)  この手法を利用すると、オーバーラップ以外の直列編集は、わずか2組のトラックで  作業可能であり、限られた表示画面であっても作業しやすいし、ファイル出力も容易  になる。  サンプリング周波数が異なる組み合わせでも、この機能は使用できるが、貼り付けた  移動先のサンプリング周波数にレート変換されないので、ピッチや尺、タイミングが  変化し使用しづらいので、作業する前に各トラックのサンプリング周波数を必ず確認  する。 <注意:ver,1.3.10以降固有のバグがあるため、これらのバージョンでステレオトラッ  クでタイムシフトや上記のトラック間ジャンプを行う場合は、必ずLR両方が画面表示  された状態で行うこと>